4日、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」では、今年1月に歴代最多となる33回目の優勝を果たした横綱・白鵬を特集した。

先の春場所で34回目の優勝を勝ち取るも、大記録達成によるモチベーションの低下に悩む白鵬は、番組のカメラに「目標がなくなるとぽかーんと穴が空いちゃう」と語るほどだった。

そんな白鵬の春場所は、初日を終えると「ぽかーんと穴が空いちゃうというね。初日の蓋を開けた時にちょっと感じたね。何のために頑張るのか」と苦しそうな表情を浮かべたばかりか、「大鵬さんが双葉山関の優勝記録12回、それを超えてから5年近く土俵に上がり続けたわけですよね。その気持ちが私にはまだ分からない。やっぱり夢の数字だったからね。どうしたらいいんだろうね」とこぼした。

さらに2日目を終えると、白鵬は「なんか乗ってないね。燃えるものがない。こんなの初めてだな」とも――。それでも勝ち続けると12日目には「本場所というのは特別な場所」という言葉も聞かれ、ようやく気持ちの歯車が噛み合ってきたかのようにみえた。

13日目には照ノ富士に敗れるも千秋楽に行われた日馬富士との横綱対決を制し優勝を果たした白鵬。すると番組のカメラに対し「特別な場所なんですね、あそこは。人を成長させたり人を試したり人を笑わせる、悲しませる。色んなものがあるんだよね。自分との戦いでありながら成長するところ」と話し、安堵の表情を浮かべた。

また、番組の中で白鵬は「強さを支える秘密」や「取組前の心境」について興味深いコメントをしている。前者については「稽古であんまり自信がついてもよくない。空振りする。やりきったとなるから。多少落としてというか、調子悪いところでいけばいいんだよね。そうすると自分が不安があるからいい緊張感を持つ。6、7割でやったものというのはもの凄くいいものを達成すると思う」という。

後者については「双葉山関もある雑誌に書いてあったけど、ある程度、相手を舐めることが大事だと。言葉は悪いかもしれないけどね。舐めていくと。多少見下ろすということ。来いというね。切羽詰まってないというか。そうすると周りも見えていいものが出ると思うんですよね」と語っている。