これが異能同士の激突ゆえのつまらなさ!

日本時間3日に行なわれた世紀の一戦、パッキャオVSメイウェザー戦。ボクシングに興味がない人までも惹きつける「何かすごいことをやるらしいぞ」感にあふれた一戦は、世紀の大凡戦として記憶されることになりそうです。試合そのものについては、質の高さは認めたうえでも、面白いか面白くないかで言えば面白くありませんでした。その点では、「加入を急げ!」などと煽った件について、僕としても残念に思っております。

世間では失望の声も上がるでしょう。「亀田並みにクソつまらん」「亀田と同じ読後感」「亀田の防御を禁止しよう」などと辛辣な言葉も並ぶかもしれません。しかし、僕自身はそうした怒りや失望はまったく抱きませんでした。試合そのものは確かに希望通りのものではありませんでしたが、そこに至るまでに十分に面白さを返してもらいましたから。

本番直前に煽っておいて言うのも何ですが、やはりこうした試合は、本編だけを見てもダメなのです。今回の試合は異能と異能の激突でした。超攻撃的スタイルで10階級を駆け上がってきた最強の矛・パッキャオ、超絶守備技巧で無敗を貫いてきた最強の盾メイウェザー、ふたつの相反する異能は噛み合うことはありません。どちらかが一方に飲まれ、凌駕されるのみ。答えを見たとき、面白さは終わるのです。

「ライオンとトラ、どっちが強い?」という疑問は定番のモノですが、「ライオンAとライオンB、どっちが強い?」という疑問は特に気にしたことないでしょう。比べようもないものをあえて比べるとき、答えはどちらなのかという興味こそがワクワクを生むのです。答えが出れば「あー、そっちなんや」としか思わないかもしれませんが、答えが出るまでは夢と妄想が広がり、楽しいのです。答えが出るまでがメインイベントなのです。

その意味で、答えだけ見てつまらないと嘆くのは、観る側にも問題があります。僕も試合結果そのものはつまらなかったですが、そこに至る過程は途方もなく面白かった。そこには確かに「夢」がありました。実現することはないと思われた対決が実現し、互いの異能をぶつけ合い、最後の最後まで何かが起きそうな気配を残し、答えを出した。望んだ答えではありませんでしたが、そこに至るまでのワクワクは何物にもかえられない喜びでした。十分にWOWOW代2,300円の価値はあるエンターテインメントだった…僕はそのように思うのです。

以上、「WOWOWの回し者ですか?」と訝しまれるほど舞い上がってしまったことへの申し開きをもって、3日のWOWOW中継による世紀の一戦「パッキャオVSメイウェザー戦」チェックへの前フリと代えさせていただきます。


◆最近「逆神」と呼ばれるほど希望の反対になる現象に悩んでいます!


何故、あれほど舞い上がってしまったのか。賢者タイムを迎えた今となっては謎です。それは亀田ボクシングコントが視聴率40%を獲っていたときの熱狂と似たようなものだったかもしれません。スマホゲーで何故か金を使わされる現象を心理学で解明できるなら、「ムカつくヤツをぶん殴りたい」感情でめっちゃハイになる現象も解明していただきたいものです。

この試合を見るために集った世界のセレブリティ。マイケル・ジョーダン、ロバート・デ・ニーロ、レオナルド・ディカプリオ、マイク・タイソン、パリス・ヒルトン、上田晋也…いちいち採り上げるのもバカらしくなるほどのVIPたち。彼らも同じように「つまらんなぁ」と思ったのでしょうか。あるいは、これぐらい煮え切らない試合のほうが、カジノで勝負に熱くなるのでしょうか。無理してきちゃった貧乏人が会場にいないことを祈るばかりです。

↓準備中のロッカールームではメイウェザーとジャスティン・ビーバーさんが試合前だというのに記念撮影!

最強ムカつきコンビ誕生www

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両陣営のリングアナが交互に呼び込みを掛け、入場してくる両選手。先にパッキャオが入場し、あとからメイウェザーがやってくる。扱いは常にメイウェザーが上、パッキャオが下です。戦いの舞台はラスベガス、ジャッジはすべて米国人、相手はアメリカの王者。これ以上ないアウェーの環境を拳ひとつで跳ね返せるか。僕もパッキャオに心を乗せて見守ります。

第1R、まずは静かな立ち上がり…と思いきや、相手を見ていくかと思われたメイウェザーが先に仕掛けます。鋭いジャブで先に動くと、パッキャオが踏み込んでくるタイミングに合わせての右のカウンター。有効打の数やダメージ自体は多くないものの、簡単には踏み込めないぞという威圧感を出すには十分なもの。接近された際は落ち着いてクリンチでリセットするなどいつも通りの戦いで、まずはメイウェザーが主導権を握り、早くも場内のファンからはブーイングが漏れます。

第2R、パッキャオも前に圧力をかけます。しかし、メイウェザーが捕まらない。コーナーに詰めて、首ごと持っていきそうなストレートを見舞っても、頭が拳より速く動いて逃げていく。「当たらなければどうということはない」という声が脳内で響きます。

第3R、じょじょにペースを上げる両者。天上世界で何が起きているのか、その幻の攻防をうかがい知る由はありませんが、最終結果として起きる現象は「コーナーでフェイントを応酬した末に空振りパンチに合わせてカウンターのクリンチ」など地味になってきます。それでもラウンド終了間際には両者が打ち合う場面も。パンチはお互い当てさせませんが、観衆は総立ちです!

第4R、L字ブロックの下からボディを攻めるパッキャオ。中盤には右をメイウェザーの顔面にクリーンヒットさせ、この試合で最大の見せ場を作ります。ガードを高く上げるメイウェザーと、空いたボディを打つパッキャオ。メイウェザーは「効いてないよ」と首を振り、実際にまったく効いていない感じも。ロープに詰めても、そこからの追撃を当てるのが極めて難しい。やはり一発、一撃で相手の技術にダメージを与えるほどの一発が必要です。パッキャオならそれがあるかもしれない、この試合のテーマは最後までそこになりそう。



第5R、前のラウンドの勢いに乗ってパッキャオが攻勢に…いきたいところですが、メイウェザーが逆に攻勢に出て試合の流れを揺り戻します。さらにメイウェザーはバックステップのスピードや、フェイントにあわせてロープに飛び退く反応、的確に相手の突進を抱きとめる上手さなど、試合をつまらなくする方向性での極上の技術を披露し始めます。上手い&つまらん!

第6R、序盤の連打でパッキャオは再びの見せ場を作ります。しかし、打つパッキャオ、かわすメイウェザーという構図は変わらないものの、パッキャオの打ち終わりに合わせるカウンターが的確さ、数ともに増えており、少しずつ確実にメイウェザーに流れが傾いていく、緩やかな傾斜を見せられているような感覚。ガードした腕の骨を折るチカラはさすがのパッキャオにもない模様。

第7R、飛び込んで右を打ち込むメイウェザー、それを打ち落とすパッキャオ。攻守逆転したかのような展開で始まったラウンドは、睨み合い⇒幻の攻防⇒意を決してパンチ打つ⇒空振り⇒離れるという剣豪同士の斬り合いのように激しい展開になっていきます。ここにきてパッキャオのディフェンスの上手さがやけに光るなど、希望の答えとはだいぶ話が違ってきた感触も。

第8R、パッキャオのカウンターの左がメイウェザーをとらえ、つづけざまの追撃もヒット。この試合で顔面を連続でとらえた数少ないシーンを作り出します。しかし、メイウェザーの右のカウンターもパッキャオをとらえ、両者ともにヒヤッとしたでしょうか、終盤は激しい空振りの応酬に。幻の攻防が一層激しくなっていきます。

↓第8R終盤の空振り・空振り・空振りの攻防は、当たれば死にそう感満載!


当たらないから何も起きないだけだ!

当たる程度の相手同士なら、世界はこんなに盛り上がらない!

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第9R、「マニー」コールが起きる会場。「マニー」パッキャオと「MONEY」があだ名のメイウェザーの対決だけに、どっちの応援か若干微妙では紛らわしいですが、どう考えてもパッキャオへのコール。当てろ、倒せ、ムカつく、その気持ちが場内を満たしていく感じです。その歓声を受けて、パッキャオが押し気味にラウンドを進めるものの、両者とも芯には当たらない。のれんと糠の対決のような感じです。

第10R、ややパッキャオの躍動感に陰りが見え始め、相対的にメイウェザーの動きの速さが際立ち始めます。残りラウンドを考えると一発デカイのを当てるしか道はないパッキャオですが、残り体力を考えると当たらないんじゃないかという疑いが強まってきます。

第11R、「勝負」の攻勢に出るパッキャオ。本来なら、ここで男を見せる打ち合いになるとドッとわくわけですが、それをヒョイヒョイよけていくメイウェザー。打たれているようで打たれてない。ロープに詰められているようで詰められていない。うなぎを捕まえる世界大会か何かのようで、面白くはないですが、感心せざるを得ません。



最終第12R、リング中央で両者は笑顔で抱き合います。パッキャオの手数もめっきりと減り、何も起きないだろう予感が確信へと変わります。「過去47人がやろうとしてできなかったことをまた繰り返すだけ」という戦前のムカつくコメントどおり、パッキャオの打撃を封じたままメイウェザーは12Rを戦い抜きました。あまつさえ残り10秒の合図でガッツポーズをするなど、最後まで余裕タップリ。面白くないことを除けば、本当に強い。脱帽の王者です。

↓この試合を実現できたことが何よりの喜び!笑顔で抱き合うのは長年のすれ違いあればこそ!


小次郎もちょっとだけ待たされたから武蔵にムカついたんです!

5年待ったあとなら「心配したよぉ」「何かあったの?」「会えてよかった」くらい言うってもんです!

↓試合のスタッツはパンチの質・量ともにメイウェザーが上回っていた模様!

これだけ当ててもまるで効いた感がないあたりが大衆受けしないんでしょうね!

ジャブがペチペチペチペチペチVS強打がブゥンブゥンブゥン!

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試合後、敗れたパッキャオは「勝った」「相手の攻撃は全然効いてない」「相手は動き回っていただけ」と強がり、記者会見では「実は3週間前に右肩を怪我していましてね」と驚きの告白を始めます。パンチの数、当てた数ともに相手が上回るというデータも出ている中で、めちゃくちゃ往生際が悪いオッサンです。

しかし、僕はこれでいいと思います。「どちらが強いか」の答えを探す時間こそが、異能対決の最大の喜びであり夢なのです。公式回答を出してしまっては、夢を楽しむ余地がなくなってしまいます。「見た人の想像に委ねる」というエンディング。映画でもそんなパターンがあるでしょう。この結果こそが答えだという意見ももちろんアリですし、怪我がなければ、5年前なら、というifを持ち出すのもまたアリなのです。

試合そのものはつまらなかったとしても、夢は終わらない。負けを認めなければ、夢は終わらない。パッキャオの往生際の悪さは、ファンを救うものでもあります。もし、パッキャオがボコボコに殴られて失神でもすれば「試合は」面白くなったかもしれませんが、そこで夢は終わっていたでしょう。それが負け惜しみを言えるぐらいピンピンしているなんて、ありがたい話。いい試合だったのではないでしょうか。誰も深く傷つかず、夢も完全には終わらなかったという意味で。この対戦を実現した関係者のみなさんお疲れ様でした。いい不完全燃焼をありがとうございます。

WOWOWはエロイ映画とかもやるので、入って後悔はないと思います!