「夏も近づく八十八夜……」と始まる文部省唱歌『茶摘み』にもあるように、新茶がおいしい季節がやってきましたね(八十八夜とは2月の立春から88日目という意味。今年は5月2日です)。
そこで今回は、知っているようで知らない「粉茶」の話題をピックアップしてみました。
実はこの粉茶、抹茶とはまったく別物だって知っていましたか?
さらに、粉茶・抹茶とも違う、いま注目の「粉末茶」とは……?

日本人に馴染み深いお茶ですが、意外に知らないこともいっぱい……?


「粉のお茶」には3種類ある

【粉茶】
煎茶を製造する過程で、お茶の葉と茎を裁断する時に出る「粉」を集めたお茶です。
お茶を淹れる際には、網目の細かい深蒸し用の急須やティーバッグを使います。茶葉の切れ端なので他のお茶より安価ですが、しっかりとした濃い味のお茶が淹れられます。
ちなみに、お寿司屋さんで出てくる濃いお茶(あがり)の多くは、この粉茶が使われているとか。魚介類を食べた後に、濃いお茶で口の中をスッキリさせるという意味があるそうです。
【抹茶】
茶摘みの十数日前から直射日光を遮った茶葉を蒸して乾燥させ、石臼で細かく挽いたものが抹茶です。
日光を遮ると、渋味の元となるカテキンの生成が抑えられ、旨みのあるまろやかな風味のお茶に仕上がります。栽培や製造に手間がかかるため高価で、茶道のお点前や、日本料理・スイーツなどに使われます。
【粉末茶】
煎茶(お茶の葉)を粉砕機で粉末状に加工したお茶です。
粉茶は茶殻が出ますが、お湯に溶ける粉末茶はほとんど茶殻が出ません。急須がなくても、お湯を注ぐだけで手軽に飲むことができます。
抹茶よりも粒がやや粗く、比較的安価で手に入ります。


いま粉末茶が注目されている理由

抹茶には旨み成分のテアニンがたくさん含まれています。
一方で、日光を遮らずに栽培した茶葉から作る煎茶には、体に良い成分のカテキン(抗菌作用など)が豊富に含まれています。
しかし、普通に急須でお茶を淹れると、栄養素のほとんどはお湯に抽出されず(茶葉に残ったまま)、有効成分の半分以上が茶殻として捨てられているのが事実です。
そこで、いま注目されているのが粉末茶。
粉末茶は茶葉そのものがお湯に溶けるため、普通の淹れ方では抽出されない栄養成分を、より効果的に(丸ごと)摂取できるからです。
もちろん、味と香りという点では、急須で淹れたお茶や抹茶にはかないませんが、より健康を意識するなら粉末茶を試す価値はありそうです。
何よりも、急須いらずで茶殻が出ないのは、嬉しいポイント。いつでも簡単&手軽に飲めて、アイデア次第で料理やスイーツづくりにも役立ちますよ。