FIFA理事選で当選した日本協会の田嶋副会長。アジア各国への支援が実を結び、最多の39票を集めた。 (C)SOCCER DIGEST

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 日本サッカーにグッドニュースが届いたね。日本協会の田嶋副会長が、FIFA理事に就任した件だ。4月30日にバーレーンのマナマで開催されたAFC総会で、FIFA理事選挙が行なわれ、36票の最多得票で19年までの4年任期のFIFA理事に当選したんだ。
 
 田嶋さんは前回の理事選にも出馬していたけど、そこでの落選が勉強になったのだろう。今回はやるべきことをやった印象だね。日本協会としてアジア諸国に代表監督を派遣したり、アンダー世代の代表チームを日本に呼んで親善試合をしたりと、様々な手を打っていた。
 
 かなりお金はかかったはずだけど、悪いことではないよ。日本の国会議員の選挙を見ても分かるけど、選挙はお金がかかるもの。しっかりとした予算を組んで活動したからこそ、今回の当選が実現したんだ。
 
 日本人の理事が誕生したことで、FIFAの情報がダイレクトに入ってくるようになる。日本協会はそれに合わせていろいろな対応を早めにできるわけだから、メリットは大きいよ。
 
 ただ、1回目の任期の4年間は、あっという間に終わってしまう。新人として入るわけだから、まだ十分な人脈はできていないだろうし、当然ながら発言力も大きくはない。きっちり実績を残して支持を固め、次の選挙でも当選しないと理事として定着しないだろう。
 
 2002年から11年までFIFA理事を務めた小倉名誉会長も、地道な活動をしていたからね。彼はワールドカップ招致活動などで世界との人脈を築き、二度目の任期につなげたんだ。田嶋さんに求められるのは、同じような働き。小倉名誉会長が作った人脈を活かすなりして、次の選挙での当選につなげるのが宿題だよ。
 
 5月末には18年ロシア・ワールドカップの各大陸の出場枠を決める理事会が開かれるね。これが田嶋さんの最初の仕事になるわけだけど、仮にアジアの枠が減らされたとしても彼の責任ではないよ。就任直後に開かれるから根回しも難しいだろうし、アジア勢はブラジル・ワールドカップで1勝も上げられなかったわけだからね。主張するのは難しい。注目すべきは、その先になにができるかだ。
 
 当選したからといって、日本に有利になるような主張ばかりしていたら、今回の選挙で投票してくれた国々からソッポを向かれてしまう。今後も選挙活動中と同じような支援を続けつつ、FIFA内で存在感を高めるために他大陸との連係も大事になるだろう。
 
 ここは我々も理解しなければならない部分だ。田嶋さんは日本の代表ではなく、アジアの代表になった。つまり、日本の利益よりも、アジア全体を考えた行動を取る立場なんだ。
 
 そう考えると、田嶋さんが年末の日本協会の会長選挙に出馬する余裕はないかもしれないね。FIFA理事の仕事がどれだけあるのか分からないけど、少なくとも小倉名誉会長が理事を務めていた時は、FIFA主催のフットサルやユース年代の大会に派遣されて忙しい日々を過ごしていた。それに、日本協会の会長になったら、日本の利益を追求する立場になるわけだから、アジアの代表として難しい立場に置かれることもあるだろう。
 
 いずれにせよ、今回のFIFA理事への当選は良い契機になる。トップ当選だから、投票してくれた各国の期待も高いはずだ。このチャンスを活かしてアジア全体にアピールし、日本サッカー界がJリーグ創設期やワールドカップを招致した頃のようなリーダーシップを発揮してほしいね。