幸せは、目に見えないところにある。「広告マンが教える、人生に大切な二つの言葉」

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広告の価値ってなんだろうか?

それは、広告を見たことによってその商品への感じ方が変わり、製品そのものの価値を超える満足度が得られたとき。それこそが広告の価値だと、広告業界で長年働いていた敏腕プロデューサー、ロリー・サザーランド氏は語ります。

彼がTEDTalksでスピーチした「広告マンが学んだ、人生の教訓」。その内容は広告論ではなく、広告から学んだ人生論なのです。

人生も広告と同じように「感じ方」が変わることで、より豊かになることを教えてくれます。

彼のスピーチを簡単にまとめると、

1.豊かに生きるには、物質的な価値よりあなたがどう感じるかという満足度の方が、大切。2.他のものを望むのではなく、既存のものを評価し直す工夫をすべき。3.健康や愛情といった目に見えないものの価値を知れば、今ある幸せにも気が付くことができる。

(実際のスピーチ動画は最下部にあります。)

少しの時間を短縮するよりも
美女がワインを出してくれた方がよい

15年ほど前、ロンドン発パリ行きの列車の旅を快適にする方法がエンジニアによって考え出されました。約100億円をかけて新たな路線を作り、3時間半の旅を40分に短縮するというものでした。

私は広告マンなので、そんな想像性のないことよりも、世界トップレベルのモデルを集めて、列車の中でワインを振舞いながら歩いてもらう方がずっと良いのではと思います。

50億円くらい余りますし、乗客はもっとゆっくり列車を走らせてくれと言うでしょう(笑)

Two men and a trainReference : Bert Kaufmann

エンジニアや医者や科学者たちは、物理的な問題解決だけを考えるという特徴があります。しかし大切なことは物理的なことではなく、あなたがどう感じるか、なのです。

現実を変えるのは難しいものですが、感じ方を変えるだけで、人生におけるさまざまな問題を解決できるようになるのです。

ここでは、目に見えない価値をつくりだした、5つの例をご紹介しましょう。

ジャガイモは
王族しか食べられないもの!?

18世紀に栄えたプロイセン王国のフリードリヒ大帝は、まずそうで誰も食べたがらなかったじゃがいもを民衆に食べてもらいたいと考えていました。パンの価格変動は減少し、飢餓のリスクも減るからです。

そこで、彼はじゃがいもは「王族しか食べられない」という位置付けにし、王家の畑で育て見張り番をつけました。

それを見た民衆は、見張り番をつけるほど価値があるものなのだと認識し、じゃがいもの闇栽培を始めました。大帝はじゃがいものブランド化に成功したのです。

ベールの着用を禁止するために…

軍事指導者のアタチュルクは、トルコの近代化のためにベールの着用を禁止しました。しかしそれだけでは反発にあいます。そこで、ベールを売春婦に義務付けたのです。

アタチュルクは2つのことを悟りました。まず、全ての価値は相対的であり、知覚により判断されるということ。そして、義務付けるよりも説得する方が効果的だということです。

Galicnik Wedding / Galicka svadba / Галичка свадбаReference : Marjan Lazarevski

ゴールドよりも鉄の方が価値アリ!?

これもプロイセン王国の話ですが、富裕層はフランスとの戦争を支援するために、国に宝飾品を献上しました。国はその証拠に、鉄製品を与えました。その結果、その後50年間プロイセンでは本質的に価値のある金やダイヤよりも、国への貢献を示す誇るべき証拠である鉄の宝飾品の方が価値のあるものになりました。ストーリーにより、ブランド価値が生じたのです。

見た目を変えたら
売り上げアップ

これは、カナダのとある広告会社での出来事です。ある男がシリアルの宣伝担当につき、ひらめきました。四角い形をしたシリアルのパッケージを変え「ダイヤモンド型」としてリニューアルして売り出したのです。中身は同じだったのにも関わらず、売上が増えました。知覚を変えるようなアイデアの大切さを感じます。

高価なワインと知るだけで
味が変わる

全米ワイン研究所により、人口の5〜10%のワイン通以外は、ワインそのものの品質と美味しさの感じ方には相互関係がないことが分かっています。しかし、高価なワインだと伝えた場合は別でした。人は、高価であるという感覚で、味の感じ方までも変わってしまうようです。これからはラベルを隠して飲んだ方が良さそうですね。

これらの5つの例は、知覚によって価値が変わることを表していますが、今後このような価値はさらに必要になってくるでしょう。他のものを望むのではなく、既存のものを高く評価し直すようなことが大切なのです。

人生を幸せにしてくれる
二つの言葉

最後に、2つの言葉をご紹介したいと思います。

1つは「詩とは、新しいものを身近にし、身近なものを新しくすることだ。」

広告の仕事にも当てはまることです。人々になじみのなかったものを新しいものとして紹介し、既に存在するものは良さを見直し価値を引き出すことが大切です。

今はソーシャルネットワーキングを利用すれば、大金をかけなくても自分の見つけた価値を広めることができるようにできました。

In the dark places.Reference : sunlight cardigan

そしてもう1つは、イギリスの作家G.K.チェスタトンの言葉で「感嘆することが足りないのでなく、感嘆できないのだ。」です。

私たちは、健康や愛情、セックスといった目に見えないものを考慮してきませんでした。しかし、目に見えないものに価値を感じるようになれば、驚くほど自分が恵まれているということに気が付くでしょう。

ありがとうございました。

Top photo by Betsy Weber
Reference:TEDTalks