日本人がキスをするようになったのは平安時代から!? 「チュウ」は江戸? 日本のキスの歴史について調べてみた

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親愛の情を表す行為としての「キス」は日本にもすっかり定着しています。「キスフレ」という言葉があって、キスまではするという男女関係があるぐらいですからね。では、この「キス」の文化はいつから日本にあるのでしょうか!?

■西洋式のキスは明治維新以降!?
「キス」、漢字で書けば「接吻(せっぷん)」で、一般的には二人の人が唇と唇を合わせることですね。もちろん唇にしないキスもありますし、

・ライト・キス
・ディープ・キス

なんて区別がされたりします。ディープ・キスになるとお互いに舌を絡める濃厚なところまでいきます。これをフレンチ・キスと呼んだりしますね。キスの持つ意味は以下の4点といったところではないでしょうか。

1.あいさつとしてのキス
2.親愛の情を示すキス
3.恋人同士の愛情を示すキス
4.性愛の行為としてのキス

普通、ディープ・キスは3、4で行われるでしょうが、ロシア圏では1のような「挨拶としてのキス」でもディープ・キスが行われたりしますね。

さて、日本では「キス」の文化はいつからあったのでしょうか? 少なくとも「挨拶としてのキス」は、西洋文化が本格的に入ってきた明治以降、また2についても「挨拶的」なニュアンスがありますので、これも明治以降と考えられます。

3と4は切り分けが難しいですが(笑)、少なくとも「性愛の行為としてのキス」は明治以前にもあったことが分かっています。

■性愛の行為としてのキスはどこまでさかのぼれる!?
では「性愛の行為としてのキス」はどこまでさかのぼれるのでしょうか? 文献の記述を当たると、少なくとも平安時代まではさかのぼれます。「口吸い」という名称での記述になりますが、

・『土佐日記』作:紀貫之/成立:935年ごろ(?)
・『今昔物語』作:不明/成立:平安時代末期(?)

に見ることができます。土佐日記が平安時代初期-中期にかけての成立なので、その前にもう一般的だったのでは? 太古からあったのではないのか? という推測もされています。性愛の行為は普遍的であるとされる一方で、時代によって変化します。

例えば、女性の乳房を愛撫(あいぶ)する行為は江戸時代では一般的ではありませんでした。現存する「春画」「艶本(えんぽん)」などを見ても、そのような行為はほとんど見られません。女性の乳房は赤ん坊にお乳をあげるためのもの、というのが一般的な認識だったためです。

ですので「口吸い」という行為があったと文献から確実にいえるのは平安時代からですが、その前から存在した可能性はもちろん否定できません。

■キスを「チュウ」というのは江戸時代までさかのぼる!?
昭和生まれの年配の人は、キスのことを「チュウ」なんて言っていた時代を覚えていらっしゃるのではないでしょうか。『はじめてのチュウ』なんて楽曲もありますよね。この「チュウ」という言葉が少なくとも江戸時代後期までさかのぼれるのをご存じでしょうか?

歌川国芳というとネコ好きで有名な江戸時代末期を代表する絵師ですが、彼の描いた艶本に『口吸心久茎』(ちゅうしんぐら)という、ダジャレなタイトルの作品があるのです。この「ちゅうしんぐら」はきちんと読み仮名として書かれているので、「口吸」で「ちゅう」と通用したのではないか、というわけです。


(郄橋モータース@dcp)