“お家騒動企業”における株価上昇の謎を読み解く
 創業者の父親と社長の長女による大塚家具の経営権をめぐる争いは、娘が父を追放する形で決着がついた。騒動の間、同社の株価は急上昇。3月初めには1000円程度だった株価が3日連続のストップ高で2000円超え。株主総会後は3月31日の終値が1500円と落ち着きを見せているが、それでも騒動前の1.5倍と、高い水準にある。この状況を、株式評論家の山本伸氏は「プロキシーファイト(委任状争奪戦)に乗じて短期筋が買った」と解説する。

「同社は売り上げが長期低落してビジネスモデル自体が揺らいでおり、プラスの材料は何もない。要は“買い”ではなく、“売り”の銘柄なわけです。儲かったのは最初の3日間に買った人だけでしょう」

◆結局は売られて株価は下がるだけ

 とはいえ配当は倍になるし、久美子氏の新たな経営戦略にも期待がかかっているのではないのか?

「利益は上がっていないのに増配できるのは、大塚家具が無借金経営だから。資産を売却したりして配当金に回すのでしょうが、こうした“タコ足配当”はマーケットでは極めて評価が低い。増配によって1株当たりの利回りが5%になるのは魅力ですが、業績を考えれば、いつまでも続けられるとは思えない。結局は売られて、株価は下がるはずです」

⇒【大塚家具の株価推移(’15年1月1日〜3月30日)】 http://hbol.jp/?attachment_id=36360

 また、大塚家具以外に、雪国まいたけや小僧寿しもお家騒動で揉めているが、そちらはどうか?

「雪国まいたけは2月に創業者一族を排除するため米国の大手投資ファンドによるTOBが報じられ、株価が前日終値よりも50円近く上昇し、287円のストップ高。その後は240〜260円で推移しています。株価は上がったとはいえTOB価格の245円は割高だし、上場廃止が決定していますからね。ほとんどの人は儲けられないと思います。小僧寿しに至っては明らかに経営の失敗で、抜本的なリストラの最中。目先は、株価が上がる材料がない。いずれにせよ、こうした銘柄で儲けるためには“飛び乗り飛び降り”で取引しなければ無理。日経平均が2万円を超えた市況だし、有望な銘柄はほかにありますよ」

【山本 伸氏】
マネーリサーチ代表。経済情報誌『羅針儀』主宰。株式評論家として多数の講演・メディア出演を行う。独自の視点で解説する日本株論にはファン多数