そう、聖子はラベンダーオタクで、部屋のインテリアも服装も全てをラベンダーで統一している。服も、傘も、飲んでいるものまでラベンダー色だ。



夫からもプレゼントも……



もちろんラベンダー色のスマホケースだ。

これを見てエリナは「私に足りていないのは色だけだ」と思った。

良かれと思って家具、服など全てを白に統一したが、白一色ではやはり物足りない。
色が足りないせいで「いいね!」の数が伸びなかったのだ。
もちろん「そんなわけないだろ」と思わなくもないが、少なくともエリナはそう思った。



そこでエリナは早速、元々好きだった「ミントグリーン」を生活に取り入れる事にした。まずは二人の服装にミントグリーンを取り入れる。

「色」というエリナに足りなかったものを補完すれば、豪邸とクルマとイケメンの夫を手に入れたエリナが聖子に負ける理由はどこにもないのだ。



イケメンの夫におねだりしたのも……



もちろんミントグリーンのスマホケースだ。



「色」を手に入れたエリナが、早速ラブラブな2ショットをFacebookに投稿する。「今度は間違いなく勝ったわね」そう呟きながら、ドヤ顔で送信ボタンを押した。



確かに「いいね!」の数が増えた。
だが、聖子の「いいね!」には遠く及ばない。
これだけを見ると「単純に自慢したがりのエリナが嫌われているだけ」という可能性の方が高そうな気がするが「いいね!」の魔力にとりつかれたエリナにはそこに気付かない。

「まだまだ、色が足りない……」

エリナの行動はどんどんエスカレートしていくのであった。



エリナは食事にもミントグリーンを取り入れる事にした。ミントの葉を一緒に炊き込み、食紅を使って色を強調した、実際に食べられるご飯だ。もちろん「実際に食べられるかどうか」と「実際に食べたいかどうか」は完全に別問題。私が「食べろ」と言われたら相当渋い顔をすると思う。

ちなみに「アローカナ」という種類の鶏はミントグリーンの卵を産むので、組み合わせれば「ミントグリーン卵かけご飯」も作れるのだ。



緑色のご飯は全く食欲をそそられないが、イケメン夫は「お金持ちで、イケメンで、優しい」というパーフェクトすぎる夫なので、そんなエリナを非難することなく笑顔でご飯を食べてしまう。





いいね!の数が徐々に増えてきた。
「なにしてんのwwwwwww」という意味合いの「いいね!」も相当含まれているような気がするが、「うらやましがられてる!」と思ったエリナは有頂天になった。



一方の聖子は相変わらずラベンダー尽くしの生活だ。
雑巾もラベンダーだし、



床掃除だってラベンダー色のモップを使う。



もちろん3時のおやつも全てラベンダーだ。





ちなみに聖子達が食べているのは実際に市販されているラベンダー食品だ。
ソーダにキャラメル、羊羹と何から何までラベンダー尽くしだが、
これらの商品は北海道の富良野でたくさん売られている。



ラベンダーのソフトクリームに、かつてはラベンダーラーメンもあった。
富良野ではありとあらゆるものがラベンダーだ。さらに……