第36味インド
プラス7.5%成長で中国を抜いたインド。でも、カラクリが…

GDPの算出方法の
変更で2%上乗せ。
ただ、株価は最高値圏

 2月9日、インドのCSO(中央統計局)が2014年10〜12月期のGDP(国内総生産)を公表、実質GDP成長率は前年同期比で7・5%増となりました。インド中央銀行が予想していた5・5%増を大きく上回ったほか、同じ時期の中国の実質GDP成長率が7.3%でしたので、インドが中国を追い抜いた格好になりました。
 ただし、これには手放しでは喜べない背景も。実は、今回のGDPが公表される直前の1月末に、CSOが「GDPの計算方法を変更しま〜す」という発表を行なっていたのです。
 具体的には、国家会計の基準年度を2004年度(2004年4月〜2005年3月)から2011年度に切り替えるほか、これまで供給ベースで算出していたGDPを、需要ベースでの算出に変更し、国際標準の手法に合わせるというものでした。
 これによって、過去に発表されたGDP成長率も一部で上方修正されることになりました。当局が公表したものを参考に、修正前と修正後の変化をまとめたのが、下の2つのグラフです。
 つまり、今回の強いGDPという結果は、インド経済が加速しているというよりも、算出方法の変更によるものというわけです。
 そもそも、経済学には「GDPの三面等価の原則」という理論があります。これは、\源此紛ゝ襦北漫↓∋拿弌兵要)面、J配面、それぞれの基準で算出されたGDPはリクツの上では等しくなるという考え方。その観点からすると、今回のGDPの上方修正には算出基準を変更しただけで「こんなに数値が上ブレするの?」というツッコミどころがあるのですが、今のところインド当局からは詳細な説明はありません。
 とはいえ、インドを取り巻く環境は改善している部分もあります。インドは国内消費量の7割以上を輸入に依存していますが、昨年終盤からの原油をはじめとした資源価格安を背景に貿易赤字が縮小傾向にあるのです。
 経常赤字国として2013年に「フラジャイル5」のメンバーに名を連ねたインドにとっては、財政の改善は通貨の安定に寄与するほか、今年1月と3月に利下げを行なう余裕も出てきています。
 また、インドの株価指数であるSENSEXも最高値圏を維持。マーケット参加者は今回のGDPの数値の上ブレにあまり左右されることなく、引き続きモディ政権による改革の進捗状況を見極めていくことになりそうです。

楽天証券経済研究所
シニアマーケットアナリスト
土信田雅之
新光証券などを経て、2011年10 月より現職。ネット証券随一の中国マニアでテクニカルアナリスト。歴史も大好きで、お城巡りと古地図収集が趣味。


この記事は「ネットマネー2015年5月号」に掲載されたものです。