西堀 敬氏
 昨年12月に東証1部に上場したばかりのゲーム開発企業gumiが、上場からわずか2か月半後に営業利益がマイナスに転落。業績下方修正を発表したことが波紋を広げている。

 同社は’15年4月期決算が上場初年度の決算になるが、当初予想は連結売上高309億7200万円、経常利益12億7700万円だった。それに対し、今年3月5日になって突如、大幅下方修正し売上高は265億円、経常損益は6億円の赤字と発表。これを受けて同社株の売り注文が殺到し、3月6日と9日の2営業日連続でストップ安を記録。その後も株価は下落傾向となっている。

⇒【gumiの株価推移(’14年12月18日〜’15年3月30日)】 http://hbol.jp/?attachment_id=36335

 だが、なによりも懸念されるのは、ここ数年来盛り上がってきたIPO(新規株式公開)投資への影響だ。IPO投資の現状について、情報サイト「東京IPO」編集長の西堀敬氏が解説する。

「昨年のIPOは77件でしたが、今年はさらに20社ぐらい増えそうで、まさにIPOラッシュといった勢いです。同時にIPO投資にも注目が集まっています。公募・売り出し株を買って上場日の初値で売る手法ですが、IPO株は抽選制なので確実に欲しい銘柄が購入できるわけではありません。なので初値で買って高値で売り抜ける“セカンダリー投資”も有効なのですが、どちらにせよ、かなりの確率で儲けを期待できる」

 そんななかで冷や水をぶっかけた格好になるgumiの業績下方修正。市場関係者からは「確信犯的な裏切り行為だ」との批判もあるが、西堀氏はこうした見方には別の見解を持つ。

「まず留意しておかなければならないのは、ITなどベンチャー企業の業績は乱高下しやすく、業績を下方修正することはあり得るということ。昨年上場した中小型液晶パネルのジャパンディスプレイも、上場後半年で2度も下方修正しましたからね。今回の場合、企業設立後の年数や利益額を重視する東証1部に上場したことが一番の問題だと思います。実績よりも今後の成長性が重視される東証マザーズのような新興市場なら、そこまで問題にならなかったはず」

◆今後はITベンチャーの上場審査が厳しくなる?

 また、gumiといえば “LINE銘柄”でもある。上場予定のLINEへの影響はないのか?

「LINEのほかにもグノシーなどのIPOが取り沙汰されていますが、今後はITベンチャーに対して上場審査が厳しくなるということはあるでしょう。まあ、今年は日本郵政と傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命という3社同時の大型IPOを控えているので、主幹事証券会社としてはベンチャーどころではないと思いますが(笑)」

 投資に“必ず”はないという、当たり前のことが証明された格好のgumiの一件だが、今後のIPO投資で留意すべき点とは?

「大型株選好の流れが続き、新興株に出遅れ感が出ていましたが、循環物色の流れで資金は必ずIPO銘柄に向かいます。まだまだIPO投資は狙い目。もちろん下方修正だけでなく、借入金の実行事実がずいぶん時間が経過した後に発覚したり、リストラを行うgumiはもうしばらくはダメだと思いますが。言えるのは、業績予想を真に受けすぎないこと。前述したようにベンチャーの業績は上にも下にもブレます。慌てて買わず、1〜2週間ほど様子を見て、投資を行うことをお勧めしますね」

【西堀 敬氏】
IPO関連情報の集積度で日本一を誇るサイト「東京IPO」の編集長。日本経済新聞、週刊東洋経済、日経CNBCなど、各経済媒体にも度々出演している