春場所5日目に左膝を痛め、途中休場した人気者の遠藤(24)。診断は半月板と前十字靭帯損傷で、全治2カ月の重傷だった。
 当初は内視鏡を入れて手術をする予定だったが「もう歩けるようになっているし、痛みもない。考えていたよりもずっと順調なので、手術はしない方向で進めている」と師匠の追手風親方(元幕内大翔山)が話している。

 まだ春巡業が行われていた最中の4月11日、遠藤は四股を踏むなどして体を動かした。膝にテーピングは巻かれていない。まさに驚異のスピード回復で、夏場所(5月10日初日、両国国技館)の出場も視野に入れているという。しかし、関係者の間からは、「焦るな」「じっくり治せ」という声がしきりだ。
 「出たい気持ちはわかりますけどね。夏場所、また照ノ富士、逸ノ城の2人が大きな注目を集めるのは間違いありませんからね。このまま休場していると、遠藤の出る幕がいよいよなくなってしまいます。でも、中途半端な状態で出るのが一番まずい。ひざに不安を抱えていては、出る力も出ませんから。出る以上はしっかり治して、不安を完全に取り去ってからでないと危い」(担当記者)

 大相撲に限らず、あらゆるプロスポーツ界では、靭帯のケガは骨折よりもやっかいといわれている。骨折は回復すれば完全に元に復するが、靭帯は時間がかかり、元の状態にはなかなか戻らない。
 春場所、日馬富士を破って初金星を挙げ、会心の笑みを見せた栃ノ心も右膝の靭帯を痛め、思い切って手術。4場所連続休場して幕下55枚目まで落ちたが、そこからまた4場所かけて幕内に復帰し、うれしい金星獲得につなげた。回り道のように見えて、意外に近道だったのだ。

 果たして遠藤の場合はどうなるか。追手風親方は、「まだ出場するかどうか、微妙。出るとなれば、幕内で十分に力を出せるぐらいまで戻っているかどうか、よく見極めて判断する」と慎重だ。
 遠藤の心は今、嵐の中の小枝のように揺れている。