どこでも座れる「ウェアラブル椅子」が、作業効率を高める

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椅子を置くスペースがないのなら、椅子ごと身につけてしまえば良い。そんな斬新な発想が生んだのが、スイスのスタートアップ企業、Noonee発の「チェアレス・チェア」だ。

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立っているのは体に良い。カロリーを消費するし、長生きできるし、ふくらはぎも引き締まる! とはいえ何時間もぶっ通しで立たされるとなると話は別。お尻をついて座っているときのように、何事もほどほどが肝心だ。

工場労働者にとって問題なのは、いつ座っていつ立つかを選べないことだ。ほとんど立ちっぱなしでいるしかない。例えばアウディの組立工場の工員たちは、1日8時間近くを立って過ごす。しかもその時間の大部分は、きつい姿勢にかがみこみ、エンジンやコンソール部分の細部の調整をしているのだ。

このような人間工学上の悪夢を解消しようと、アウディで導入されたユニークなテクノロジーが、チェアレス・チェアだ。スイスのスタートアップ、Nooneeが開発したこの油圧式の椅子は、1日中立っていなければならない人たちの下半身を支える。最高にクールなウェアラブルと思うか、どうしようもなくダサい外骨格と思うかはあなた次第だ。

デザインはシンプルで、柔軟性のある添え木のように工員の脚の背面を支えるチタン製のフレームと、胴に巻きつけるサポートベルトからなる。工員は普段通りに立ったり歩いたりでき、座りたいときには、ボタンを押してフレームを好きな角度で固定する。これにより体重の負荷がフレームを通して床やかかとに移動する。「バースツールに座っているような感覚です」と、Nooneeの共同創業者キース・グヌラは言う。

どうして普通に椅子に座らないのだろう? 実はアウディのような企業では、効率を最優先した設計の結果、工場に椅子を置くスペースがないのだ。チェアレス・チェアならば、事実上、工員に常に椅子を携帯させることができる。

この方法にはいくつか人間工学上の課題があった。Nooneeのデザイナーたちによれば、最大の問題は工員が自由に動けるようにすることだった。歩行の際に脚がどう動くかを詳細に分析した結果、かれらは膝の一点に関節を作るのではなく、もっと自由に動かすことができ、どんな歩き方にも対応できるフレームをつくることに決めた(特許申請中のため、Nooneeは詳細をぼかしている)。

アウディはこのデヴァイスを、エンジン、ドア、センターコンソールの組立工場で働く工員をサポートするタスク特化型ツールと考えている。アウディによれば、このチェアにより工員は作業中に3〜10秒の「マイクロ休憩」をとることが可能になり、筋肉疲労が緩和し、生産性が向上するという。

チェアレス・チェアは、ロッキード・マーティンのフォルティス外骨格のように力を増幅することはないが、軽量で装着感も良く、ほとんどエネルギーを使わないため、工場以外でも応用できそうだ。「猟師の方々からぜひ使いたいとの声を聞いています」と、グヌラは言う。漁師、外科医、農家、販売員と、「いわば長時間立ち仕事をする誰も」が関心を寄せているという。

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