“美人漫画家”が初の書き下ろし本発売を期に顔出しを解禁した理由とは?

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 雑誌やテレビでの顔出し解禁で話題を呼んでいる人気漫画家・まんしゅうきつこさんの初の書き下ろし単行本が4月9日に発売された。タイトルは『アル中ワンダーランド』(扶桑社/刊)だ。
 その名の通り、アルコール依存症の経験を漫画化したもので、ご近所さんとのバトルのようなクスッと笑える話から、トークイベントでのまさかのポロリといった目も当てられない残念なエピソードまで、アルコール依存症の地獄に吸い込まれていくまんしゅうさんが描かれている。

 今回、編集部はまんしゅうさんにインタビューを敢行。『アル中ワンダーランド』について語っていただいた! この前編ではどのようにしてこの漫画が作られたのか、顔出し解禁の理由などを聞いた。
(インタビュー・構成:金井元貴)

■“美人漫画家”顔出し解禁の理由とは

――初めての書き下ろし単行本ということで、読者の方々の反応はいかがですか?

まんしゅうさん(以下敬称略):共感してくれる方がとても多くて、「まるで自分を見ているようだった」と言っていただけたりしました。落ち込んでいる人が読んだときにクスッと笑ってもらえるようなマンガにしたかったので、そういった感想が寄せられてようやく肩の荷が下りました。

――Amazonランキングもノンフィクションジャンルで1位(2015年4月9日朝〜14日朝)を獲得しています。

まんしゅう:想像以上ですね…。ちょっと萎縮しています(笑)。ただ、「売れなきゃ」というプレッシャーもあったので、これで解放されました。

――『アル中ワンダーランド』ということで、ご自身のアルコール依存症の経験をマンガにしていますが、この題材でマンガを書こうと思った理由は?

まんしゅう:もともとのお話をしますと、「オリモノわんだーらんど」というブログをやっていて、アクセスが増えるに伴ってイラストやマンガの仕事をいただけるようになったんです。でも、そっちの仕事が忙しくなると、ブログを書くことができない。そして、ブログを更新しないといけないという想いがプレッシャーになって、書けなくなってしまったんです。そこで私はお酒に逃げて…。

――リミッターが外れてしまった。

まんしゅう:そうなんです。それでアルコール依存症になってしまったのですが、打ち合わせで担当編集の高石さんにお会いしたとき、「私、アル中みたいだから病院行こうと思ってる」と言ったら「じゃあ、それでマンガ書きませんか?」と。

担当編集・高石:実はその時点ですでにひどい酔っぱらいかたをしていて、「病院に行く」っていう話もビールを飲みながらしていました。その後、一緒に舞台を観に行く約束をしていたのですが、全く歩けず、会場の下北沢ザ・スズナリの階段も登れずといった有様で、舞台中もずっと寝ていて…(苦笑)。しかも帰ろうとしたときに、「もう一杯飲もう」と言われ、ワインをガバガバ飲んでいました。まんしゅうさんの本気の千鳥足を見て、これはもうネタとして昇華したほうがいいな、と。

――まんしゅうさんは、そのくだりを覚えているのですか?

まんしゅう:それが…よくわからないんです(苦笑)。ただ、そのすぐ後に「編集会議通した」という連絡がきて、面白そうだからやろうかなというくらいだったのですが、高石さんがデスクの方を連れてきて、後に引けなくなりました。

――その後、すぐに書き始めたのですか?

まんしゅう:いえ、実は1年間くらい空いていたんです。何か書き出せなくて。でもあの1年間がなかったら面白いものが書けなかったと思います。一度寝かすことが大事なんです。

――最も飲んでいたときは、どのくらいアルコールを飲まれていたんですか?

まんしゅう:それが自分でも分からないんですよ(苦笑)。朝起きて、空き瓶の本数を数えたり、ウイスキーの減り方を見て、どのくらい飲んだというのを認識したりしていました。

――特によく飲まれていたお酒は?

まんしゅう:最後の方はウイスキーでしたね。どんどんアルコール度数の高いお酒に移行していくんですよ。自分でもこれはちょっとマズいんじゃないかな…と思い始めて。
もし病院へ行かなかったら最終的にスピリタスまで行っていたかもしれない(苦笑)。

――お酒の飲み過ぎで記憶をなくす描写がよく出てきますが、その間は丸っきりないんですか?

まんしゅう:まったくないんですよ。あ、でも、30分おきにパッ!と一コマくらい覚えていることがあって、その間は完全に抜けています。だから怖いんですよね…。

――昔から記憶をなくすことが多かったんですか?

まんしゅう:そこまでお酒に浸るようになったのはブログをはじめてからです。それ以前は付き合い程度くらいの飲酒だったので。記憶をなくしたのは一度だけで、大学生のときに入っていたフォークソングのサークルで飲み過ぎて、下着姿になって変な踊りを踊ったときくらいです。

――イベントでお酒に酔って壇上で胸を露出するというエピソードが書かれていますが、その頃から脱ぐ癖があったのですね…。

まんしゅう:インターネットで見たことがあるのですが、すぐ脱いでしまう人って、普段ものすごいストレスを抱えている人らしいんです。抑圧されている部分を解放するようにして。だから自分もストレスを抱えているのかな…。

――ストレスがあるという自覚はあるんですか?

まんしゅう:プレッシャーは感じますけれど、ストレスとして自覚することはあまりないです。ただ、歯医者に行ったら、「あなた相当歯ぎしりしているからマウスピースしたほうがいい」と言われ、さらに整体に行ったときも「この顔のゆがみは歯ぎしりだね」と言われたので、もしかしたら感じているかもしれません…。

――この本の最後にはコラムニストの小田嶋隆さん、編集者の中川淳一郎さんとの鼎談が掲載されていますが、そこで顔出しをされていらっしゃいます。もともと4月7日発売号の週刊『SPA!』で袋とじグラビアで水着姿になって顔を解禁しましたが、この撮影のときはお酒を飲んでいませんよね?

まんしゅう:飲んでないです。

――シラフのときに服を脱ぐというのはどういう感じでしたか?

まんしゅう:最初はがちがちで表情も硬かったと思うんですが、カメラマンが弟(江森康之さん)だったので出せた表情もあったと思います。でも、撮影が進むうちに「よし、お前ブラ取れ」と言われて、「それは無理!」とか、そんなやりとりをしていました(笑)

――今回、顔を解禁したのはどうしてなんですか?

まんしゅう:漫画家だから顔を出さなくてもいいかな〜と思っていたのですが、ふと周りを見渡した時に、プロモーションで顔を出されている方漫画家さんが割といて、そういうのに影響を受けた部分もあります。本を売るために顔を出しました。

担当編集・高石:それに、ずっと「美人らしい」という噂がついていましたからね。

まんしゅう:それがすごく嫌だったんですよ! でも、顔出しして、かなりハードルが下がりましたし、2ちゃんねるでは「ババア!ババア!」と言われていますからね。そう書かれるだろうな…というのはありましたがここまでババアと言われると胸に来るものがありますね…。でも、おおかた予想通りです!

(後編は明日配信予定!)


『アル中ワンダーランド』