AKBスクープを報じた「週刊文春」(文藝春秋)4月2日春の特大号(週刊文春デジタルより)

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「週刊文春」(文藝春秋)4月2日号でAKB48の元役員によるメンバーたちの盗撮画像や映像が大量に存在したことが明らかになったが、同誌ではその翌週に盗撮画像の中に存在した衝撃的な写真を掲載した。それは、2011年に都内で行われた高橋みなみの20歳の誕生日パーティの写真だった。

 そこには、高橋がひげ面の男性に抱きつき、その勢いからかパンティがちょい見えしているものや、当時18歳で未成年だった峯岸みなみが飲酒して幼稚園児のコスプレで男性の膝に座っている姿など、運営側とタレントによる乱痴気騒ぎが収められていた。

 2013年にも選抜総選挙前日にAKBの古参メンバーと運営幹部らが六本木のメンズサパークラブで全裸男性たちのショーを楽しんだことが伝えられるなど、ハレンチで知られるAKB飲み会。しかし今回、「週刊文春」が掲載した記事の興味深い点は、パーティに出席した男性陣のメンツだ。参加者は、劇場総支配人の茅野しのぶ氏や、AKS関連会社社長でその名がNMB48のシングルタイトルにもなった北川謙二氏をはじめ、SNH48顧問、専属カメラマンなど10名だったというが、「文春」によると、この席には運営スタッフ以外に2名の男性がいた。それは大手広告代理店のAKS担当だというK氏とM氏の2人だ。

 K氏は、前述した高橋が抱きついている男性で、掲載された写真以外にも高橋とK氏が抱き合っている写真が複数あったという。「週刊文春」は彼らのプロフィールをこう紹介している。

「K氏は結成当時からAKBを担当する営業マン。秋元康さんの右腕で、秋元さんのSNSにも頻繁に登場します。青い外車で撮影現場に現れ、現場スタッフを一喝するような人で、外見も話し方も"ザ・業界人"。AKBのおかげで最近部長に出世しました。MはKの元部下で会社のHPにも紹介されるモテ男。現在コンテンツ業務を担当しています」

「週刊文春」は彼らが所属している会社名を明かさず、「大手広告代理店」としか書いていないが、この会社はもちろん、日本を代表する広告代理店・電通である。

 実際、確認したところ、K氏とM氏は両名とも、今も電通に在籍していた。K氏は今年1月1日付けで第18営業局営業部専任部長に"出世"しており、M氏は2014年に立ち上がったコンテンツ局に所属、AKBグループ出演のドラマ『マジすか学園3』(テレビ東京)でもアシスタントプロデューサーとして名を連ねている。

 電通といえば、広告代理店という存在以上に、メディアに対して絶大な影響を与える組織だ。企業からのCMや広告、そしてパブリシティをマスコミに供給するパイプ役や様々なイベント、広報や企業不祥事の際のスキャンダル潰しにも関与する。最盛期に比べその勢いは衰えたとはいえ、未だにメディアにとって利益に直結する組織なのだ。また、ドラマや映画、バラエティ、CMなどのキャスティングにも深く関わり、芸能界に対する影響力も大きい。

 しかし、AKBとの関係はそんなレベルではない。電通はAKBの誕生から国民的グループになった現在まで、AKBに寄り添い、運営サイドと二人三脚でバックアップするなど大きな役割を担ってきた。

 2005年、秋元康プロデュースのもと、秋葉原の「AKB48劇場」で産声を上げたAKBだが、電通はそれ以前からこのプロジェクトに大きな関わりがあった。

「この時期、秋元のもとにNTTからドコモの新サービスの企画が持ち込まれたのが発端です。それ以前に携帯電話と連動した秋元のホラー映画企画が成功していて、新たに何か仕掛けられないか、というものでした」(電通関係者)

 そこに食いついたのが秋元とは20年来の付き合いで、ドコモ担当の電通社員だった。電通はまず、FOMAのプロモーションとして、AKBの第二期メンバーのオーディションを全国規模で行うというプロジェクトを立ち上げる。そして、ドコモがスポンサーのラジオ番組にAKBメンバーによる電話デートコーナーを作り、AKBを露出させていったのだ。さらに電通がバックアップする形で、ドコモの音楽配信チャンネルでAKBの曲の配信もスタートした。

「そこでリリースされたのが、シングル『Baby! Baby! Baby!』でした。PVも電通子会社の電通テックが製作するなど電通仕切りでしたし、電通本体の中に『AKB担当チーム』まで発足されました」(同前)

 こうして動きだした電通によるAKBプロジェクトは、08年の「大声ダイヤモンド」のヒットにより大ブレイク。その後もAKBに関連する様々なテレビ番組やCM、イベントが電通仕切りのもとで進んでいく。また、乃木坂46も電通によって作られたグループであり、現在ではすっかり「AKBは電通の配下にある」という認識が定着したのだ。

 電通のAKBへの関与に関し、当事者たちが語った興味深い資料が存在する。それが「Quick Japan」(太田出版)vol.87に掲載された電通社員2人の対談だ。

 ここに登場するのはAKB誕生前からプロジェクトに関わり、「AKBとスポンサーを引き合わせるだけでなく、テレビ番組『AKBINGO!』(日本テレビ)、『週刊AKB』(テレビ東京)の成立に積極的に関与するなど、ビジネスの幅を広げるように努めている」(対談リードより)という電通第7営業局営業部の藤田浩幸氏と、テレビ局ネットワーク5部長の阿比留一彦氏(肩書きはいずれも当時)の2人だ。

 飲み会でメンバーと乱痴気騒ぎを繰り広げていたK氏、M氏とは別人だが、2人は電通マンである自分たちとAKBとの関係についてこう語っている。

〈藤田 僕はドコモの担当営業をやっていて、当時はテレビ電話の普及に苦戦していて。その時に、秋元さんが阿比留に相談していたAKB48とタイアップしようと......。かなり大胆な企画とも思いましたが、ドコモさんが理解を示してくださった。ちょうどAKB48の二期メンバーのオーディションをやるから、それをテレビ電話を使ってテレビ電話オーディションを全国規模でやろうというのがスタートですね。今は秋元さんと多い時は週6日はご飯を食べて、雑談しながらいろんな企画を動かしています。(略)
 阿比留 まずは、レギュラー番組を! ということで、日本テレビさんにご相談させていただき、次はできるだけ全国に広げて行きたいってことで、今年『週刊AKB』(テレビ東京系/初の全国ネット)を始めさせていただきました。両輪なんですよね。『AKBINGO!』ではバラエティの濃さみたいなものを追求しつつ、『週刊AKB』では「チーム対抗運動会」といったイベントを企画する。(略)
 藤田 僕らがやっているのは、AKBというプラットホームの整備なんですよ。さまざまなメディアが乗り入れる、AKBプラットホームの装置がきちんと動くのを監視している。(略)スポンサー様にこのプラットホームを上手に利用していただきたい」

 代理店とメディアがタッグを組み、アイドルグループを全国規模へと売り出す仕掛けが自慢とともに語られている。こうして電通はAKBに絶大な影響力を持ち、利権を独占。両者の関係は"特別"というまでの間柄になっていったのだ。

 そして、この両者の蜜月関係の中で、しばしばささやかれるようになったのが電通担当社員とAKBトップメンバーの"シークレットな飲み会"だった。

 たとえば、10年7月に行われたロサンゼルス公演の際にも、電通社員が参加した"特別な飲み会"が行われた。その際、彼らはメンバーの腰に手を回すなど、「週刊文春」が掲載した写真と同様の痴態を繰り広げていたという。

「前々から、運営サイドはAKBの人気メンバーを"シークレット飲み会"でホステス代わりに動員して、電通やテレビ関係者を接待するという枕営業の噂は絶えませんでしたが、とくにその恩恵にあずかっていると言われているのが、電通の担当者たちだった」(芸能関係者)

「週刊文春」の高橋とK氏の写真には「恋愛か、それとも営業か?」と皮肉とも思えるキャプションが添えられているが、まさに「週刊文春」に掲載された写真によって、この噂が裏付けられた形だ。

 しかし、前述したように、その「文春」も"電通"の2文字は出すことが出来なかった。言っておくが、このスキャンダルはたんに広告代理店とアイドルが合コンというような、生ぬるいものではない。彼らは、現役アイドルに酒席で肉弾接待をさせ、当時、18歳だった峯岸みなみに飲酒までさせているのである。

 05年に当時フジテレビアナウンサーだった菊間千乃が、未成年だったNEWSメンバーと飲酒していたことが発覚した際には、無期限謹慎処分という重い処分を受け、その後、退社に追い込まれたが、これは企業のコンプライアンスに大きく関わる問題である。

 事実、「週刊文春」も、「監督代行者である周囲の大人には、未成年の飲酒を制止する義務がある」として本人への取材や電通にも質問状を送っている。にもかかわらず、記事では電通という誰しもが知る企業名を伏せざるをえなかった。

 そして、他のマスコミも一切、この問題に触れようとしない。AKBタブーの強固さはよく知られた話だが、メディア業界にはもっと強力な、「電通」というタブーが存在することがはからずも証明されたと言えるだろう。
(時田章広)