プロジェクトリーダーの井原恵子氏(下段中央)、下段左から時計回りに大学四年生の岩岡万梨恵さん、お寺の副住職の蓬茨夕美(ほうし・ゆみ)さん、台湾からの留学生のホン・ミンウィさん、主婦の大橋恵さん、医師の林由理子さん。後ろには訓練車のNC型ロードスター

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WEC(FIA世界耐久選手権)で女性初の表彰台を獲得するなど海外でも活躍するレーシングドライバーの井原慶子氏が4月11日、女性レーシングチームの監督に就任することが発表された。

このチームはFIA(国際自動車連盟)、JAF(日本自動車連盟)が推進する「ウイメン イン モータースポーツ」のプロジェクトの一環で、自動車メーカーのマツダが協賛。FIAアジア代表委員を務める井原氏と共にモータースポーツに参加する女性を公募し、トレーニング車両や場所の提供、ドライビングのトレーニングやレースへの参加をサポートしていくという。

この日、お台場で開催された「モータースポーツジャパン フェスティバル・イン・お台場」(4月11日、12日開催)のマツダブームでは井原氏と公募で選ばれた女性26名がお披露目。井原氏は次のように語る。

「女性がもっとモータースポーツや自動車産業に参画できる環境を作っていく取り組みをFIAやJAFと進めている中で最初に主旨に賛同してくださったのがマツダです。ロードスターを訓練車として、女性ドライバー、エンジニア、メカニックを志す女性を募集したところ200名以上の応募申請がありました。

クルマを運転したい、モータースポーツをやりたいという女性が日本にこんなにたくさんいると思わなかった。女性というのは人生の中で結婚、出産、子育てなどいろんなフェーズがある。履歴書や面接で聞くと、今までもガマンしなきゃいけなかったとか、やりたかったけどできなかったとかそういう気持ちが伝わってきました」

井原さん自身も男性社会であるモータースポーツの世界では苦労も多かったとか。

「私が16年間、女性ドライバーとして世界最高位を獲るまでに日本レースシーンや社会で感じていたのは、どのプロジェクトのオーディションにも必ず年齢制限があるということ。24歳以下でなければいけないというようなオーディションが多く、私は25歳からレースを始めたのでどのオーディションも受けられなかったんです。

でも人が集まらなかった時に、30歳でも来てくださいと声をかけられたり理不尽だなと感じることも非常に多かった。

そこで今回のプロジェクトに関しては年齢制限を外しました。すると18歳から68歳の方まで応募があり、選ばれた中には50代の方もいます。職業も様々で医者、エンジニア、博士、専業主婦、お坊さん、女子大生など本当にバラエティに富んた方々が参加してくれました」

その選出されたひとり、女子大生の岩岡万梨恵さんに抱負を聞いた。

「元々モータースポーツの学校に通っていたんですが、そこに井原さんが講師として来ていて、世界で活躍する日本人女性ドライバーがいるってホントにすごいと。私もそんなドライバーになりたいと思って応募しました。

レーシングカートのレースには出始めているのですが、次のステップに進んで、見ている人も楽しめるようなレースができるドライバーになりたいです」

また石川県にあるお寺の副住職をしているという蓬茨夕美(ほうし・ゆみ)さんはこう語る。

「フェイスブックで井原さんのページを見て応募しました。住職を説得して、法事の日程等もあわせていただいてここに来ました」

そして、心療内科の医師という林由理子さんはレース経験者だ。

「仕事をしながら休みの日はほとんどサーキットに行っているような状況だったので、その延長という感じで。元々主人がポルシェでレースをしていて、その影響で見に行くところから始まったんですけど、ただ見ているのが性に合わず、やってみたら私のほうが旦那そっちのでどんどんハマってしまって(笑)。

993RSRでシリーズチャンピオンを獲れたので993GT3カップにチャレンジしようと思っていた矢先にこのプロジェクトを見たんです。基礎を学んでもう一回いろんなことをやってみたいなと思っています」

井原さんによればメンバーには全員共通した思いがあるという。

「クルマを走らせる喜びを味わって人生を充実させていきたいという思いですね。そうした熱い気持ちのあるメンバーが合格しました」

それで今後のスケジュールは?

「7月まで4ヵ月にわたって訓練をしていって、最終的に優秀者を数名選びます。今年9月のロードスターのメディア対抗、MX‐5カップや耐久レースなどで活躍してもらいたいですね」

最近は女性だけのF1カテゴリー創設という話も出ている。そうなれば、将来的にはチャレンジしたい気持ちも?

「F1やWECはものすごく強いダウンフォースがかかるんです。コーナーが速いし、体にかかる負担も高くて世界選手権で走っている女性って私しかいないんです。それだとなかなか上がってこられず競争にならないと思っています。

今考えているのはミドルフォーミュラの新しいカテゴリー、FIA‐F4や電気自動車のF1といわれるフォーミュラEで女性ばかりのレースを作ってもいいんじゃないかと議論をしています」

意外にも今回のような規模で女性がモータースポーツに参加できるプロジェクトの試みは日本が初めて。自動車が基幹産業でありながらモータースポーツやクルマ文化が根付かないといわれる日本を盛り上げるのは、このプロジェクトで活躍する女性たちかもしれない!