Q:いつもよく噛まないで大急ぎで食べるからでしょうか。唾液が不足し、口の中が乾燥するため口臭がします。ちなみに仕事はストレスだらけです。唾液不足を改善するにはどうすればよいでしょうか。アドバイスをお願いします。(26歳・編集プロダクション勤務)

 A:唾液の分泌がよいかどうかは、遺伝や食生活、運動、ストレスなどさまざまな要素が関係します。よく噛んで食べているかどうかはその一つです。
 一般的に唾液が不足する原因の一つは、よく噛んで食べないことにあるといわれます。そう言われると、なるほど、よく噛むと唾液がたくさん出るような気がします。
 ところが実は、よく噛まない人にも唾液が多い人はたくさんいます。その理由としては、よく噛まない場合、体は本能として自然に唾液の分泌を促進するものと考えられます。
 そもそも、唾液の分泌を促すのは脳です。そのことは、おいしそうなケーキなどを見たり、その芳香を嗅いだりしたときに唾液が湧いてくることを思うと、わかるでしょう。
 別の例を挙げて説明すると、入れ歯を装着していても唾液の分泌が低下するわけではありません。

●楽しく食べる工夫を
 つまり、総入れ歯であろうとなかろうと、食べようという意欲と楽しく食べられる環境があれば、唾液の分泌は促進されるのです。
 ご質問の方は、職業柄、いつもそそくさと食べるのが習慣になっているそうですが、締め切りのことを気にしながらの食事は、気持ちが食べるほうに向かっていないでしょう。そのことも、唾液の分泌を低下させる原因の一つと思われます。
 締め切りに忙殺されているときは、むしろ食べないほうが健康によいと思われます。仕事から解放され、気持ちが落ち着いたときにゆっくりと食事をすればよいでしょう。そうすれば、自然に唾液も湧いてきます。
 フランスに、「おいしいワインと楽しい会話、一切れのパンがあればよい」といった諺がありますが、これは唾液の分泌を促す食事といえるでしょう。
 それはまた、生きるために食べるのではなく、精神的な満足を得るための食事ともいえるでしょう。
 ご質問の方は、今の会社にいる限り事情は変わらないでしょうが、少しでも楽しく食事ができるように工夫することをお薦めします。

渡辺秀司氏(とつかグリーン歯科医院院長、漢方歯科医学研究所所長)
 神奈川歯科大学卒。同大学研修医を経て、横浜市でとつかグリーン歯科医院を開設。歯学博士。歯科領域に漢方を取り入れ、天然素材を配合したうがい薬や歯磨き剤を開発。独自な歯周病治療で名高い。