NHKドラマ・ガイド「まれ」/NHK出版

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4月18日放送の朝ドラ「まれ」(NHK月〜土 朝8時〜)第18回は、第3週「卒業ロールケーキ」の締め。開始から10分までの間に、びっくり展開がふたつも盛り込まれていました。

ひとつは、子供の頃から無口な二木高志(渡辺大知、黒猫チェルシーのヴォーカル)が演者の資質を生かして、ものすごく歌い上げる人だったこと(東京でミュージシャンを目指すそうです)。
もうひとつは、圭太(山崎賢人/大でなく立のほう)がいつのまにか一子(清水富美加)とつきあっていて、ショックを受けた希が夢を封印してしまうこと。

「まれ」は、主演の土屋太鳳に落ち着いた風情があるのと、「地道にコツコツ」という言葉から、のんびりと素朴な印象を受けるのですが、脚本的には15分という短い時間の中でエピソードを細かく刻んでいく意欲的な作品ではないか、という気がしてきました。

18回で秀逸だったのは、希が圭太を呼び出したときの一子の描き方。
「早いね。もう来とったん?」と言う一子の台詞と「早かってんな」と言う圭太の台詞だけで、一子は意図的に待ち合わせの時間よりも早く来たのだろうと想像させます。
もし、一子が早く来なかったら、圭太の心がまた希に傾いたかもしれず、一子はそうはさせじと早く来たのかなあと。女の友情より恋優先。オフビートで女の心理の底深さを描いた「紙の月」や「胡桃の部屋」を書いている篠崎絵里子(大でなく立のほう)らしさの出た場面です。

それから、徹(大泉洋)が歌う「ボインはおとうちゃんのためにあるんやないわいね」(「嘆きのボイン」)。これ、「チチ帰る」の歌です。チチ違いではありますが、チチが一週まわって元の位置に来くることについて歌っています。徹の自虐なのかと思いつつ、土屋太鳳はボインなので、ダブルミーニングになっているところが秀逸です。

歌といえばもうひとつ、村の女たちによるうみねこ座のコーラス「聖者の行進」は陽気なメロディーですが、黒人霊歌です。
彼女たちはなぜこの歌を選んだのでしょうか。

そして、高志が卒業を歌い上げた歌は、
「1番大事な時こそ
僕 何も 何も言えない
1番 伝えたい気持ちは
いつも青い空の中」

ふだんはっきり言えない気持ちをいろいろな歌に託した18話。
このドラマ自体が、声高に自分を主張することなく、地道に生きている人たちの讃歌なのでしょう。

第4週からはまれの社会人生活が波瀾万丈に描かれるようです。
(木俣冬)
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