【NBAプレイオフ2015・ファーストラウンド展望@ウェスト編】

 プレイオフに駒を進めた8チームのうち、7チームがレギュラーシーズン50勝以上という、今季もハイレベルな戦いを見せたウェスタン・カンファレンス。もちろん、これからのプレイオフでも激しさは確実に増すはずだ。現地4月18日に幕を開けたプレイオフ・ファーストラウンドを、さっそく展望してみよう。

 プレイオフに進出した8チームは、第1シードから順に、ゴールデンステート・ウォリアーズ(67勝15敗)、ヒューストン・ロケッツ(56勝26敗)、ロサンゼルス・クリッパーズ(56勝26敗)、ポートランド・トレイルブレイザーズ(51勝31敗)、メンフィス・グリズリーズ(55勝27敗)、サンアントニオ・スパーズ(55勝27敗)、ダラス・マーベリックス(50勝32敗)、ニューオーリンズ・ペリカンズ(45勝37敗)だ。

[ファーストラウンド対戦カード]
ゴールデンステート・ウォリアーズ(1位)対ニューオーリンズ・ペリカンズ(8位)
ヒューストン・ロケッツ(2位)対ダラス・マーベリックス(7位)
ロサンゼルス・クリッパーズ(3位)対サンアントニオ・スパーズ(6位)
ポートランド・トレイルブレイザーズ(4位)対メンフィス・グリズリーズ(5位)

 第1シードは、今季リーグ最高勝率(.817)をマークしたウォリアーズ。それに続くは、シーズン56勝で並んだロケッツとクリッパーズだ。ただし、ロケッツはサウスウェスト・ディビジョンの首位で、対するクリッパーズはウォリアーズに次ぐパシフィック・ディビジョンの2位。その結果、ルールに沿って第2シードはロケッツ、そして第3シードがクリッパーズとなった。

 第4シードは、勝率でグリズリーズやスパーズに劣るも、「ディビジョン首位は第4シード内が確定」という規定により、ノースウェスト・ディビジョン首位のトレイルブレイザーズが獲得。55勝で並んだグリズリーズとスパーズは、ウェスタン・カンファレンス内での対戦成績が上回るグリズリーズが第5シード、スパーズが第6シードとなった。そして最後は勝率順に、マーベリックスが第7シード、ペリカンズが第8シードに食い込んでいる。

 つまり、今年のウェストはわずかの差でシード順位が大きく変わるほど、肉薄した戦いを演じているのだ。それを裏付けるように、ブックメーカー『ウィリアムヒル』の優勝予想オッズも、イーストと比べてチーム間の数字は大きく開いていない。ウェストのオッズは、以下のとおりだ。

ゴールデンステート・ウォリアーズ=2.50
サンアントニオ・スパーズ=3.20
ヒューストン・ロケッツ=9.00
ロサンゼルス・クリッパーズ=9.00
メンフィス・グリズリーズ=11.00
ダラス・マーベリックス=17.00
ポートランド・トレイルブレイザーズ=23.00
ニューオーリンズ・ペリカンズ=67.00

 ウォリアーズとスパーズが本命で、ロケッツ、クリッパーズ、グリズリーズ、マーベリックスの4チームが対抗馬といったところだろう。80倍以上のオッズが3チームもあったイーストと比較すると、ウェストの実力がいかに拮抗しているかが分かる。

 その中でも今季67勝を挙げて球団新記録を樹立したウォリアーズは、間違いなくファイナル進出の大本命である。シーズン67勝以上を記録したのは、NBA史上10チームしかない。1試合平均110.0得点を誇るリーグ1位の攻撃力は、ファーストラウンドのペリカンズ戦でも大いに発揮されるだろう。

 その攻撃を支えるエースは、今季スリーポイントシュートを286本成功させてNBA新記録を打ち立てたステファン・カリー(PG)だ。もちろん、カリーはシーズンMVPの最有力候補のひとりでもある。さらに、ウォリアーズにはクレイ・トンプソン(SG)という、もうひとりの長距離砲も擁している。1月23日のサクラメント・キングス戦では、第3クォーターだけでスリーポイントシュート9本を含む37得点を叩き出し、1ピリオドの最多得点記録を塗り替えた。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

 また、今季のウォリアーズはホームで39勝2敗と、圧倒的な強さを見せている。ホームコートアドバンテージを有するため、ファーストラウンド突破は当然のこと、1974−1975シーズン以来のNBA制覇も視野に入れているだろう。

 対するペリカンズは、プレイオフデビューとなる成長著しいアンソニー・デイビス(PF)がどんなプレイを見せてくれるのか、興味を引くところだ。またペリカンズには、オクラホマシティ・サンダーとレギュラーシーズンの最後まで第8シードの座を争い、最終戦で強豪スパーズを破ってプレイオフ進出を決めた勢いがある。ウェスト最強のウォリアーズにどこまで食い下がることができるか注目したい。

 一方、第2シードのロケッツと第7シードのマーベリックスとの一戦は、因縁含みの対決となる。昨年オフ、ロケッツは制限付きFAとなったチャンドラー・パーソンズ(SF)を引き止めなかったため、マーベリックスがパーソンズを獲得することになった。しかもその際、エースのジェームス・ハーデン(SG)が、「ロケッツの要は、俺とドワイト・ハワード。その他はロールプレイヤー、もしくはチームを完成させるためのピースだ。いくつかピースを失ったが、来季も問題なくやれる」と発言。そのコメントに対し、パーソンズはツイッターで、「口を開く前に考えろ」と怒りのコメントをつぶやいている。

 レギュラーシーズンでの対戦は3勝1敗でロケッツがリードするものの、4試合の得点を合計すると402点(ロケッツ)対398点(マーベリックス)と、その差はわずかなことが分かる。ロケッツとマーベリックス、どちらが勝ち上がっても不思議ではない。

 そして、クリッパーズ(第3シード)対スパーズ(第6シード)の組み合わせは、どちらのファンも、「ファーストラウンドでは当たりたくなかった」と思っているのではないだろうか。特にスパーズは、レギュラーシーズン最終戦に勝てば第2シードになるはずだったが、ペリカンズに負けてまさかの第6シードに......。ホームコートアドバンテージを失い、一気に階段から転げ落ちた格好だ。また、クリッパーズも第3シードを獲得しながら、オッズで本命と評価されているスパーズとファーストラウンドで対戦しなくてはならなくなった。

 クリッパーズは司令塔のクリス・ポール(PG)を中心に、ブレイク・グリフィン(PF)、J・J・レディック(SG)らが脇を固める布陣。一方、昨季のNBA覇者スパーズは、長年チームを支えたトニー・パーカー(PG)、マヌ・ジノビリ(SG)、ティム・ダンカン(PF)の「ビッグ3」ではなく、今季はプロ4年目のクワイ・レナード(SF)がチームトップの平均16.5得点を挙げて牽引している。パーカーが「今後はレナード中心のチームになっていく。ダンカンからジノビリ、ジノビリから僕へとバトンがつながり、今度は僕がレナードにバトンを渡す番だ」と語るように、スパーズは少しずつ若返りを図っている最中だ。

 レギュラーシーズンの対戦成績は、2戦2敗のまったくの五分。どちらかがファーストラウンドで消えるのは惜しいが、これもプレイオフの魅力のひとつだろう。

 トレイルブレイザーズ(第4シード)対グリズリーズ(第5シード)の対戦は、シード順位こそブレイザーズが上なものの、今季の対戦成績はグリズリーズが4戦全勝。グリズリーズ有利は揺るがなさそうだ。一方、ブレイザーズはシーズン中盤以降に故障者が続出したことが悔やまれる。プレイオフを勝ち上がるには、大舞台に強い「クラッチプレイヤー」のデイミアン・リラード(PG)の爆発頼みか。

 ファーストラウンドから見どころの多い2015年のウェスタン・カンファレンス。最初にふるい落とされるのは、どの4チームか――。それが昨年のNBA王者スパーズだったとしても、誰も驚かない。

※データはレギュラーシーズン終了時

水野光博●構成・文 text by Mizuno Mitsuhiro