【NBAプレイオフ2015・ファーストラウンド展望@イースト編】

 昨年10月末から始まったNBAレギュラーシーズン82試合が終了し、プレイオフに駒を進めるチームがついに出揃った。まずは、イースタン・カンファレンスの覇権の行方を占ってみたい。

 プレイオフに進出したのは、第1シードから順に、アトランタ・ホークス(60勝22敗)、クリーブランド・キャバリアーズ(53勝29敗)、シカゴ・ブルズ(50勝32敗)、トロント・ラプターズ(49勝33敗)、ワシントン・ウィザーズ(46勝36敗)、ミルウォーキー・バックス(41勝41敗)、ボストン・セルティックス(40勝42敗)、ブルックリン・ネッツ(38勝44敗)の8チームだ。

[ファーストラウンド対戦カード]
アトランタ・ホークス(1位)対ブルックリン・ネッツ(8位)
クリーブランド・キャブス(2位)対ボストン・セルティックス(7位)
シカゴ・ブルズ(3位)対ミルウォーキー・バックス(6位)
トロント・ラプターズ(4位)対ワシントン・ウィザーズ(5位)

 当然、シード順位が高いチームほど、カンファレンス王者となる可能性も高いと想像できる。しかし、ブックメーカーの『ウィリアムヒル』は、イースタン・カンファレンスの優勝チームのオッズを、以下のようにつけている。

クリーブランド・キャブス=1.73
アトランタ・ホークス=4.00
シカゴ・ブルズ=6.50
トロント・ラプターズ=15.00
ワシントン・ウィザーズ=21.00
ミルウォーキー・バックス=81.00
ボストン・セルティックス=81.00
ブルックリン・ネッツ=81.00

 ブックメーカーの予想では、優勝候補の大本命はキャブス。ホークスとブルズが対抗馬で、ラプターズとウィザーズが中穴、そして残り3チームは大穴と読んでいる。また、ブックメーカーのみならず、スポーツ専門チャンネル『ESPN』が発表したパワーランキングでも、イースタンのトップはキャブスだ。首位の座は譲ったものの、キャブスの強さは高く評価されている。

 その高評価の源(みなもと)となっているのは、レブロン・ジェームズ(SF)、カイリー・アービング(PG)、ケビン・ラブ(PF)を擁するキャブスの「ビッグ3」の存在である。特に平均25.3得点(リーグ3位)のレブロンと、平均21.7得点(リーグ9位)のアービングの爆発力は、対戦チームにとって脅威だ。どちらかひとりを重点的に抑えようとすれば、もうひとりに大量得点を許すこととなる。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

 レギュラーシーズン中、キャブスはレブロンやラブなどの新加入によって、常にチームケミストリーの成熟度が疑問視されてきた。しかし、レギュラーシーズン最後の20試合を15勝5敗と尻上がりに成績を上げていることからも分かるように、もはや問題ではないはずだ。あえて不安点を挙げるなら、前述した5敗のうち2敗が、ファーストラウンドの対戦相手となるセルティックスに喫しているということか。

 そのセルティックスは昨季、25勝57敗と大きく負け越し、NBA優勝を果たした2008年以降続いていたプレイオフ進出が7年ぶりに途絶えた。だが、今季はチームの顔だったレイジョン・ロンド(現ダラス・マーベリックス/PG)やジェフ・グリーン(現メンフィス・グリズリーズ/SF)をシーズン中に放出してチーム再建に着手し、いきなりプレイオフに返り咲いた。

 第7シードのセルティックスは完全なる挑戦者の立場であり、失うものがない強味がある。特に注目は、フェニックス・サンズからトレードで加入したアイザイア・トーマス(PG)だ。この175センチの小兵ポイントガードは平均26.0分の出場時間ながら、チーム最高の平均19.0得点を叩き出している。今季のシックスマン賞(※)も有力視されているトーマスを、キャブスは侮らないほうがいいだろう。

※シックスマン賞=ベンチから出場して好成績を残す「シックスマン」の中で、最も活躍した選手に贈られる賞。

 一方、ブックメーカーのオッズこそキャブスに本命の座を譲ったが、レギュラーシーズンで60勝の大台を突破したホークスも、もちろん今季の優勝候補だ。開幕前はほぼノーマークの存在ながら、第1シードを獲得したことは称賛に値する。ホークスがカンファレンス首位となったのは、球団史上2度目。マイケル・ジョーダンと並ぶ「屈指のスラムダンカー」として名を馳せたドミニク・ウィルキンスが在籍していた1993−1994シーズン以来となる。

 今季の躍進の要因は、サンアントニオ・スパーズで18年間アシスタントコーチを務め、ホークスを率いて2年目のマイク・ビューデンホルツァー・ヘッドコーチ(HC)の指導力によるところが大きい。ビューデンホルツァーHCは今季、まさに「東のスパーズ」を作り上げた。

 チームのスコアリングリーダーは平均16.7得点のポール・ミルサップ(PF)だが、この成績はリーグ全体でいえば32位でしかない。しかし、スターターの5人全員が平均12得点を超え、チーム平均得点102.5はイースタン3位の好成績。チームの平均アシスト数(25.7本)はイースタン1位で、平均失点97.1はイースタン2位。キャブスとは対象的に、特定の選手に依存することのないスタイルは浮き沈みが少ない。ファーストラウンドで対戦する第8シードのネッツとは、今季のレギュラーシーズンで4戦全勝。ファーストラウンドは無難に突破しそうだ。

 しかし、嫌なデータもある。ホークスは1970年に東西カンファレンス制が導入されて以降44シーズン、セカンドラウンドであるカンファレンス・セミファイナルを突破したことが1度もない。カンファレンス・セミファイナルで対戦する可能性があるのは、ウィザーズかラプラーズ。ウィザーズには今季3勝1敗だが、ラプターズとは1勝3敗。果たしてホークスはカンファレンス・ファイナルまで進出できるのか、そこにも注目したい。

 第3シードのブルズと第6シードのバックスとの対戦は、レギュラーシーズンで3勝1敗のブルズ優位は動かないだろう。デリック・ローズ(PG)とパウ・ガソル(PF)の柱が今季は健在。さらにMIP(最優秀躍進選手賞)有力候補のジミー・バトラー(SG)や、新人のニコラ・ミロティッチ(PF)といったフレッシュな選手の台頭も頼もしい。今年1月には、今季リーグ最高勝率(.817)を残したゴールデンステート・ウォリアーズのホーム連勝記録(19連勝)に終止符を打つ大物食いぶりも披露している。

 もちろん、バックスの上昇度も決して侮れない。昨季15勝67敗とリーグ最低勝率でシーズンを終えたバックスは、今季のドラフト2位で新人王候補のジャバリ・パーカー(SF)を獲得したものの、そのパーカーは昨年12月に故障のため離脱してしまった。しかし、ジェイソン・キッドHCがチームをひとつにまとめ、41勝41敗の勝率5割で第6シードを獲得。昨季新人王のマイケル・カーター=ウィリアムス(PG)、脅威の身体能力を誇る2年目のヤニス・アデトクンボ(SF)、成長著しい3年目のクリス・ミドルトン(SG)と、いずれもチームの中心は若手だ。プレイオフでアップセット(番狂わせ)を起こすのは、彼らのような若いチームなのかもしれない。

 そして、第4シードのラプターズと第5シードのウィザーズの対戦は、チーム平均104.0得点でイースタン最強の攻撃力を誇るラプターズが有利か。一方のウィザーズは、ジョン・ウォール(PG)とブラッドリー・ビール(SG)のバックコートディオで、どこまで対抗できるかに注目したい。

 今季のプレイオフ開幕は、現地4月18日。イースタンを制するのは大本命か、それとも大穴か――。あなたなら、どのチームにベットする?

※データはレギュラーシーズン終了時

水野光博●構成・文 text by Mizuno Mitsuhiro