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働く女性たちに、キラキラしただけではないリアルなエピソードを聞いていくこのシリーズ。前回は、保守的な会社で「女は愛嬌」「退職するなら寿で」などといったプレッシャーの中で働いている女性についてレポートしましたが、今回はジャニーズファンの女性に、会社で働くこととジャニーズファンであることの調整はどう行っているのを伺いました。

一見、ジャニーズファン向けの企画のように見えますが、すべての趣味人にも共通する話でもあり、また会社で有休を取るとはどういうことなのか、仕事とプライベートを両立させるにはどうすればいいのか……ということが少しは見えてくると思います。

今回登場いただくのは、三度目の転職をして、今はメーカー勤務の正社員Tさん(32歳)です。

○平日は仕事を大急ぎで終わらせてダッシュ

――ジャニーズファンとしては、どういう活動をしてるんですか?

高校からずっとジャニオタで、活動的だったときもあったけど、今はちょっと落ち着いて、土日や平日に行ける範囲で舞台やコンサートに行くという感じですね。平日は仕事を大急ぎで終わらせてダッシュします。基本はひとり行動ですね。

――それはどうしてなんですか?

東京のコンサートならいいんですが、誰かと遠征することになっていても、仕事でどうしてもいけなくなったりすると、ほかに行ける人を探したり、ホテルを取り直したりしないといけなくなるんで。でも、そのおかげで安いホテルや移動手段を見つけることはうまくなってきました。新幹線とホテルのパック料金よりも安い組み合わせで予約できたら「よっしゃー!」みたいな。

――わかります(笑)。旅先ではどんな風に過ごしますか?

現地では、ファンの友達と合流してご飯を食べることもあるし、一人で観光もしますね。その土地の名物を食べたり、観光地にふらっといったり。でも、地方で一人で回転寿司屋に入って熱燗なんかを頼んでると、お客として来てるおじさんにまじまじと見られることもあって。地方で一人でご飯を食べる女性って珍しいんだなと。あと、クリスマスのコンサート後、ひとりでビジネスホテルに泊まっていたら、ホテルの人が心配してついてきたことがあって。たぶん、ひとりでこんなところで過ごしているんで、この人大丈夫かって心配されたみたいでした。

――休みというのはどうやりくりしているんですか?

有休を使ってどこかに行くということはほとんどないですね。だいたいは土日か、平日の夜です。

――早退とかもするんですか?

早退もしなかったですね。日中に仕事を頑張って定時で終わらせて、そこからダッシュです。前に一度だけ、それでは間に合わないので有休を使ったことがありますが、病気でないと有休が受理されない会社だったので、熱が出たって言うしかなくて……。

――そんなに有休を取りにくい会社だったんですか?

そうですね。前にいた会社の話ですけど、お盆やお正月は10日くらい全員が一斉に休むシステムになっていて、休み自体が少ないわけじゃないんですが、個別でとろうと思うと難しくて。4年間会社にいて、病気で3日、ジャニーズで1日しか有休をとったことはないです。その病気で休んだ3日というのは、ノロウィルスにやられてしまったんですけど、上司に病状を細かく報告しないといけなくて、なんで私、自分がお腹を下した話をこと細かく伝えないといけないんだろうって……。

――それは大変ですよね。私もはるか昔には病欠もしにくい部署で働いていたことがありました。そんなことがあると、会社の人にはジャニーズで遠征なんて言いたくなくなりそうですね

今までにいたどこの会社でも、休みに旅行にいくと、お土産を持って配りあうという文化がありました。私も普通に旅行にいったときにはお土産を持っていきますが、ジャニーズの遠征のときは、説明することが多くなるし、土日の間に遠征しているだけで有休とって休んでいるわけでもないので、そのときは言わないですね。

○転職の際に導線を考える

――平日のコンサートに行くときは何か工夫してましたか?

さっきも言いましたが、仕事を定時までに終わらせるくらいですかね。それから、転職するときに、会社が終わってから日比谷に通える場所かな? ということは一応考えましたね。もちろんほかの要素も考慮してますけど。

――日比谷というと……

日比谷には日生劇場、帝国劇場、シアタークリエとジャニーズの舞台をやる劇場がいっぱいあるんですよ。だから、その動線を考えてしまう。人によっては代々木国立競技場に行きやすいところを考えて家を決めたり、水道橋に行きやすいかで沿線に住んだりとか、そういうことは、なんとなくは頭においてるみたいです。

――ジャニオタっていうことを会社の仲のいい友達にも話したりはしないんですか?

そうですね。あまりしないですね。仲はいいけれど、ジャニーズの話がしたい人とそういう話はすればいいと思うので。それに、話してすぐにわかる人のファンだったらわりとすんなり受け入れてもらえるかもだけど、私が好きなのはジャニーズJr.のふぉ〜ゆ〜やThey武道っていうグループだったりするので。

――会社の人とかだと、「どういうグループですか?」って聞かれそうですね

やっぱり説明が必要になりますしね。あと、会社によってオタ的な人の多いところと、そういう人がぜんぜんいない業種ってあると思うんですよ。私はどっちかっていうと、オタの少ない人の多い会社だったもんで。

――確かにそれはありそうですね。Tさんが誰かのファンになるのはどういうポイントなんですか?

私は、残念なところを見つけるといいな、ってなりますね。自分ではちゃんとしてるつもりなのに、ここぞというところで失敗してしまったり。そういうのを見守りたいというのはあります。

――じゃあ、Tさんにとってジャニーズとはどういう存在ですか?

自分はいろんなことに興味があるので、その中の一つですね。別に「ジャニーズのファンだから日々の仕事を頑張れる!」とかではないんですよ。でも、そのために仕事や日程を調整したりするのは苦じゃない。きっと、高校の頃から長くファンをやっているので、生活の中の一部になっているのかもしれません。

○まとめ

私も有休をとりにくい会社で働いたことはありました。有休って、病気のためにあるのではなく、労働基準法で定められた権利であるはずなのですが、実際には会社や部署の空気によって、自己都合では休みにくいところもたくさんあると思います。もちろん、周囲に仕事を押し付けて休むなんて人もほとんどいないはずですが、会社によっては、あれこれ個人的な興味から詮索されたりすることもまだまだあるようです。

有休のとりやすさは、その会社の風通しの良さを表す指標でもあるのではないでしょうか。有休の取りにくい会社では、自分とほかの人との働き方の「違い」も受け入れにくいものです。「ワーク・ライフ・バランスの第一歩は、有休にあり」なのかもしれません。

<著者プロフィール>

西森路代ライター。地方のOLを経て上京。派遣社員、編集プロダクション勤務を経てフリーに。香港、台湾、韓国、日本などアジアのエンターテイメントと、女性の生き方について執筆中。現在、TBS RADIO「文化系トーラジオLIFE」にも出演中。著書に『K-POPがアジアを制覇する』(原書房)、共著に『女子会2.0』(NHK出版)などがある。

(西森路代)