まだ30歳!アカデミー賞を賑わせた『セッション』の監督から、同年代へのメッセージ
「アカデミー賞助演男優賞を受賞したJ・K・シモンズのことは、もともと大ファンだったんだ。アカデミー賞の夜は本当にみんなぼーっとして、ただただ起きていることを吸収しているような、そんな一晩だった」

 音楽ドラマ『セッション』が、映画界最高峰の賞アカデミー賞にて作品賞を含む5部門でノミネートされた夜のことを、撮影当時28歳で監督したデイミアン・チャゼル監督はこう振り返ります。

 若手監督の登竜門として名高いサンダンス映画祭でグランプリと観客賞に輝いた同作は、名門音楽大学に入学したジャズドラマーのニーマン(マイルズ・テラー)と、伝説の教師フレッチャー(J・K・シモンズ)のぶつかり合いを軸に描かれる音楽ドラマ。と聞くと、一見、普通の音楽青春ドラマを思い描きがちですよね。

 でもこの『セッション』、全然、普通じゃないんです! フレッチャーは軍隊顔負けの鬼教師で、ニーマンもまた野望に燃える青年なものだから、ふたりのレッスンはどんどん狂気を帯びて行ってサスペンスの領域に。とにかくラストまで気の抜けない作品なんです。

⇒【画像】はコチラ http://joshi-spa.jp/?attachment_id=240009

 そんな作品が放っておかれるはずはなく、アカデミー賞にも5部門(作品賞、助演男優賞、脚色賞、音響賞、編集賞)でノミネートされ、J・K・シモンズの助演男優賞など3部門を受賞しました。

 そしてこのたび、チャゼル監督への電話インタビューが実現! 世界が注目する俊英は何を語る?

◆鬼教師の迫力は監督も引くくらい!

 まずは、とんでもない鬼教師ぶりで助演男優賞を受賞したJ・K・シモンズについて。

「J・K・シモンズはたくさんの映画に出演してきた実力派だけど、アカデミー賞へのノミネートは初だったんだよ。それに彼だけでなく、今回、僕らのチームで候補になった人たちはアカデミー賞初ノミネートばかりでね。本当にワクワクしたね。特にJ・K・シモンズの受賞は嬉しくてしょうがなかった」

 シモンズの鬼教師ぶりは本当に壮絶で、賞前の各予想でも、彼に関しては受賞が確実視されていました。

「フレッチャーが叫ぶときには、本物の獣のように、非人間的な雄叫びでやってほしいとお願いしたんだ。でも彼、リハーサルでは抑えていてね。本番になったら引くほどのド迫力で、正直、僕も怖かったくらい(笑)。もちろんとてもワクワクしたけど。今回、あの衣装も彼のアイデアなんだ。それからたとえば、僕が『叫びながら』って書いたセリフ部分を、わざと低いささやき声で言ったりしてね。本当に最高の役者さ」

◆『セッション』誕生の裏に日本の傑作アリ?

 本編を観ればシモンズの凄さは納得できると思いますが、監督自身も、絶対注目の才能の持ち主! そんな監督に影響を与えた日本の監督がいます。

「やっぱり黒澤明監督は挙げないわけにいかない。『セッション』でもアクションやバイオレンス面の演出の参考にしているよ。特に『七人の侍』とか、『隠し砦の三悪人』『乱』といった作品をお手本にした。音楽を演奏しているシーンを、戦いのように演出したかったから。あと本作とは関係ないけれど、一番好きなのは小津安二郎監督。ただただエモーショナルな部分で僕に響く監督なんだ」

◆30代の若者たちへ「諦めるな」

 さて、本作では鬼教師フレッチャーに食らいついていく、主人公ニーマンの姿もまた凄まじいんです。とはいえ、現実の人生では挫折することもありますよね。特に今の日本では、壁にぶち当たったまま、30代になっても社会復帰できない人も大勢います。そんな若者たちに、同世代の監督からメッセージをもらいました。

「僕だって上から目線では言えないけれど、伝えるとしたら、やっぱり『諦めるな』ってことかな。『NO』と言われたって、めげずに頑張る。人生には『NO』と言われる瞬間が幾度もある。でもその度にいちいちがっかりしてはいられない。『セッション』からも、そういうポジティブな面が伝わってくれたらいいと思っている。

 ただ同時に、本作では大義名分(本作でいう音楽)があれば何でもしていいのか、人を手ひどく扱ってもいいのか、ということも描いている。その答えが何であるかというより、いろんなことを考えるきっかけになってくれればいいと思って作った映画なんだ。いずれにしても、諦めないってことは大切だと思うよ」

⇒【YouTube】映画『セッション』予告編(4/17公開)https://youtu.be/v7jEDQlR9BY

<TEXT/望月ふみ PHOTO/(C)KaoriSuzuki>

『セッション』はTOHOシネマズ新宿ほかにて公開中
配給:ギャガ (C) 2013 WHIPLASH, LLC All Rights Reserved.
オフィシャルサイト http://session.gaga.ne.jp/