【インタビュー】田中麗奈 「30代の今、仕事の楽しみ方が20代とは違ってきて面白い!」
直木賞作家・浅田次郎の長編小説「王妃の館」を、テレビドラマ「相棒」シリーズの橋本一監督が映画化。倒産寸前の旅行会社が企画した前代未聞のパリ旅行に、水谷豊演じる北白川右京をはじめとしたセレブ旅行の“ポジ”、格安旅行の“ネガ”の“ワケあり男女10人”のツアー客たちが繰り広げる騒動を描いた本作で、田中麗奈は旅行会社女社長・玲子を熱演。パリで行われた豪華撮影裏話とプライベートについて語ってくれました!


『ヴェルサイユ宮殿を貸し切っての撮影は感動』


――原作小説を10年以上前に読まれていたそうですが、どのように演じようと思いましたか?

田中:オファーをいただいてからあらためて原作は読み返しましたが、映画の玲子のキャラクターは原作とはちょっと違っていたので原作は気にせずに、脚本に描かれた玲子を演じようと思いました。玲子は旅行会社の女社長であり、母親でもあり、妻でもある。1人の女性としてたくさんの役割、違う顔があるので、そこが表現できればいいなと思っていました。

――玲子と田中さん、似ているなと思う部分はありましたか?

田中:「やらなきゃ!」「頑張らなきゃ!」って自分を追いたててしまう所は共通する所かもしれません。

S__6685023――今回はポジツアーのキャスト、ネガツアーのキャストと大人数の豪華な俳優方との共演でしたがいかがでしたか?

田中:楽しかったですね。初めてご一緒する方もいらっしゃいましたが、パリではポジ、ネガ関係なくみんなで一緒に食事に行ったりワイワイ楽しかったです。

――20日間以上パリに滞在しての撮影。お仕事とはいえとても羨ましいです(笑)。

田中:(笑)。よく周囲からも言われます。パリでは22時頃でも外が明るくて。明るいうちに寝て、朝暗い中起きて…。そこには少し違和感を感じることもあり、滞在当初は生活のリズムがつかみにくかったです。

――「王妃の館」は動くガイドブックと言えそうなくらいパリの観光地や名所が登場していますが、田中さんご自身、見て欲しいシーン、おすすめスポットはありますか?

田中:ヴェルサイユ宮殿を貸し切っての撮影はとても感動しましたね。まさかここで撮影できるとは思っていなかったし、迫力がすごかったのでそこは楽しみに見ていただきたいです。
本当に…考えてみるとヴェルサイユ宮殿を貸し切るってすごく贅沢なことですよね(笑)。

――日本とフランスの合同スタッフとの映画作りの現場はどんな雰囲気だったのでしょうか?

田中:撮影は日本のスタッフが指揮をとりながら進んでいたのですが、役割分担がきっちりしていてスムーズでしたね。なんの問題もなくお芝居に集中できました。食事の時間も長かったので、皆さんとコミュニケーションをとれる時間でした。
準備していただいたケータリングは温かくて、デザートも種類が多くてとても嬉しかったです(笑)。食事も楽しみの時間のひとつでしたね(笑)。


ファッションは選ぶ色が明るくなると気持ちも明るくなる』



――ポジもネガも衣装から髪型までかなり個性的なのに、玲子だけは落ち着いたトーンの衣装だったのも印象的でした。

田中:舞台はパリですし、衣装も「どういう雰囲気かな」と自分の中で想像していたのですが、「黒一色」というのは思いもよらなかったですね。他のキャラクターの方々とのバランスもあるから「玲子は黒一色でいきたい」と相談され、驚いた印象があります。黒一色だと地味になってしまうのでアクセサリーで少し華やかに見せたり工夫をしました。唯一、ディナーのシーンで黄色い衣装を着させてもらいました(笑)。

――田中さんご自身、普段はどんなファッションが好きですか?

田中:基本的に白が多いですね。シャツやニット、ワンピースとか…。以前は黒ベースだったのですが、黒だと選ぶトーンが自然と暗くなっちゃうなと感じてからは明るい色にしたいなと思って。選ぶ色が明るくなると気持ちも明るくなりますよね。黒でキュッと気持ちを引き締めるのも時には必要ですが、白をベースに水色などを取り入れたりするファッションが今は好きです。

――主演の水谷さんとの共演で何か感じたことなどはありましたか?

田中:水谷さんは考えていらっしゃることがHappyなんです。水谷さんは「幸運」という言葉がすごく似合う方ですね。撮影中に、雨が降ってしまった時も「それなら雨のシーンにしてしまおう」とおっしゃって。
玲子が落ち込んでいるシーンだったのですが「パリの天気と女性の心は変わりやすい」というセリを加えて雨のシーンになったんです。こういった柔軟な対応の仕方などたくさん学ばせていただきました。


『「出会い」を楽しみに違ったことをやってみたい』




――最近はドラマ「徒歩7分」で演じられた彼氏なし、友達なし、仕事なしのナイナイづくしの依子役や、「美しき罠 〜残花繚乱〜」での不倫ののち、いわくつきの結婚をするりか役、そして「王妃の館」の玲子と、幅広い役を演じてきましたが、20代の頃と34歳の現在とを比べて仕事のスタンスなどは変わってきましたか?

田中:芝居に関しては常に悩んで勉強して、好きになったり嫌いになったり、ずっと繰り返してきているんですよね。20代の頃にできなかったものが30代になってできることが増えてきたので今後の仕事のスタンスとしては、「出会い」を楽しみに違ったことをやってみたいなと思いますね。20代の頃に一緒にお仕事をした監督やプロデューサーの方々から、30代でまた一緒にやろうと声をかけていただいたことがあるのですがそれは本当に有難いことです。昔一緒の思い出を作った方々と時を超えて「今後、何をしようか」と話せることが嬉しいです。仕事の楽しみ方が20代とは違ってきていますね。

――立て続けに作品に出る時や作品が終わってからなど、役からの切り替えには何かされたりしますか?

田中:旅行に行きますね。あとは髪型を変えてみたり、今まで会えなかった人達に会いに行ったり。最近は本当に忙しかったので(笑)どこにも行っていないのですが、今は沖縄に行こうと計画しています。ほかにはハワイに行きたいですね。南国のような暖かくて明るいところに。楽観的になれるところに行きたいですね(笑)。

――考えすぎちゃっていた?

田中:最近までずっと撮影で忙しくしていたので(笑)。
冬の撮影は寒いので少し内向的になったりナイーブになりやすいので、気持ちを切り替えるためにも暖かいところに行きたいですね。


『今はドラマが一段落したので、ちょっと遊びたい!』



――ちなみに「Peachy」とは「ゴキゲン」という意味の英語のスラングなんですが、田中さんのゴキゲン・Happyの源になっているものはなんでしょうか?

田中:友人。「人」ですね。あとはワイン、食事、洋服…自分で運転するのも好きなので「車」も!
今はドラマが一段落したので、ちょっと遊びたい!と考えている時ですね(笑)。
沖縄でヨガをやりたいと思っています。ヨガは何年か続けているのですがしっかりと習いたくて。ヨガの考え方とかもちょっと勉強してきます(笑)。


――最後に「王妃の館」の見どころ、メッセージをお願いします。

田中:パリに行ったら絶対に行きたい観光地が目白押しなので「忙しくてパリなんて…」という方も映画館でぜひパリを堪能してもらいたいですね。
私の役で言えば、女社長ということで本当だったら男性がするようなことも彼女が背負って一生懸命生きているので、働いている女性の方に共感してもらえる所はあるのではないかと思います。玲子はちょっと詐欺まがいなことをしてしまってはいるのですがきっと彼女の生き方、思いなどを理解してもらえるのではないかと思います。


「王妃の館」は4月25日(土)GWロードショー。
公式サイト:http://www.ouhi-movie.jp/

撮影:椿孝
取材・文:木村友美


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