露W杯アジア2次予選は試金石…過去に縛られない日本代表作りを望む

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文=戸塚啓

 気持ちがざわつくのは、まだまだ先のことだ。

 ロシア・ワールドカップ、アジア2次予選の組み合わせが決まり、日本はシリア、アフガニスタン、シンガポール、カンボジアと対戦することになった。日本、韓国、オーストラリアなどが第1シードとして振り分けられているため、強豪とのしびれる対戦はない。組み合わせにハラハラドキドキすることはないのである。

 最終予選へストレートインするのは、グループ1位だけだ。2位になると8つのグループの上位4カ国に入らなければいけないが、日本にとっては気にする必要のないものである。このグループで1位になれなければ、ロシアW杯出場など覚束ない。

 2次予選は来年3月まで行われ、その間の国際Aマッチデイをほぼ費やすことになる。6月の予選開幕後は、10月に一度だけテストマッチを組めるだけだ。

 それだけに、2次予選を通したチーム力のアップは不可欠である。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の戦術を浸透させつつ、チーム全体の底上げをはかりたい。2次予選は真剣勝負だが、新戦力の起用にためらいはない。これまでにない試みがあってもいい。例えば、9月の連戦である。

 3日にホームでカンボジアと、5日後の8日にアフガニスタンとアウェイで対戦する。6月のゲームで実力を見定めてからの判断となるが、この2試合で大幅にメンバーを入れ替えてもいいだろう。

 馴染みのあるスタジアムでプレーでき、ホームの声援も受けられるカンボジア戦は、経験の少ない選手を大胆に起用する。続くアフガニスタン戦はアウェイということを考慮し、――中立地での開催も想定内だが──経験のある選手のボリュームを増やす、といった使い分けである。

 首位通過が確定したら、海外組は休ませてもいい。その一方で、代表チームの活動が国際Aマッチデイに縛られる以上、空白期間があまりにも長くなるとリスクが生じる。

 代表チームの活動は、試合へ向けた調整と確認であると同時に、戦術を浸透させる時間でもある。トレーニングとミーティングを有効活用したい。3月のテストマッチのように海外組を招集するが、試合でフルに使うことはしない、といった考えかたは今後もあっていいだろう。

 ドルトムントのユルゲン・クロップ監督が、今シーズン限りでの退任を発表した。気になるのは香川真司の立場である。

 監督が代われば、使われる選手にも変化が生じる。新しくやってくる監督のもとで、香川は定位置を確保できるか。チーム作りの方向性が変わり、同じポジションに即戦力の選手が加入する可能性もある。

 香川だけではない。監督交代や新加入選手の加入でチーム内の序列に変化が生じるのは、海外でプレーする選手の誰もが直面する日常だ。ジーコの日本代表のように、海外組が揃って出場機会を失い、ゲーム勘を鈍らせてしまうこともないとは言い切れない。

 ブラジルW杯で、アルベルト・ザッケローニ監督は長谷部誠、吉田麻也、内田篤人ら負傷明けの選手に頼った。彼らの実績と実力に疑いの余地はなく、長い時間をかけて培われた信頼関係もあった。ただ、ザックがもう少し戦力の底上げに積極的だったら、状況は変わっていたと思うのである。

 ブラジルW杯の惨敗をアジアカップが助長する代表の姿は、ACLでの苦戦にもつながっている気がしてならない。中国勢の躍進が外国人選手に支えられているとしても、それはJリーグ開幕当時の日本そのものである。国内リーグで上質な外国人とマッチアップすることで、当時の日本代表選手は自信を深めることができていた。ACLにおけるクラブの躍進が、やがて中国代表に波及してもおかしくないのである。

 アジアにおける優位性は、明らかに揺らいでいる。過去の強化方針や常識に縛られないチーム作りへ、いまこそ踏み出すべきである。