3月31日、朝日新聞の紙面に、こんな記事が掲載された。

〈朝日新聞社は30日、東京創業の地、東京都中央区銀座6丁目に新ビル「銀座朝日ビル」(仮称)を建設すると発表した。地上12階、地下2階の建物には、ラグジュアリーホテル、商業施設が入る。2017年秋に完成する予定だ〉

 貴重な紙面を割いてまで自社の新事業をアピールする必要があったのは、この建設予定地が朝日にとって特別な場所だからというだけではなく、不動産が「次なる基幹ビジネス」と考えているからだろう。

 建設予定地は1888年(明治21年)に大阪から東京に進出した朝日新聞の拠点。かつては本社ビルがあり、当時社員だった夏目漱石や石川啄木も机を置いていた。

 本社移転後は改築を重ね、解体作業が始まった今年3月までは子会社の朝日ビルディングや、その他のテナントが入居していた。

 新ビルの総事業費は約130億円。高さ48メートル、延べ床面積は約1万6000平方メートル。1〜2階は商業施設で、ホテルは3〜12階に入るという。新聞事業の部署は入居せず、要するに「丸ごと1棟不動産ビジネスビル」なのだ。

 近隣の不動産業者によると周辺地価は「1平方メートル、1500万〜1600万円」という超一等地である。そんな場所に建つホテルは、宿泊料も賃料もハイクラスになりそうだ。不動産コンサルタントが語る。

「銀座は外国人観光客の拠点です。現在、都内は東京五輪に向けてホテルの建設ラッシュが続いていますが、銀座エリアは部屋数が足りていません。この立地なら高い稼働率が見込めるので、1泊5万〜6万円の最高級クラスが想定されます。

 部屋数を200と考えると、売り上げは年間40億円程度。朝日に入るテナント料は、商業施設も含めると年間12億〜13億円程度になるのではないでしょうか」

 10年あまりで投資を回収できる計算だ。訪日外国人観光客数は2年連続で史上最高を更新している。東京五輪までホテル需要は右肩上がりが見込まれるだけに、朝日に大きな収益をもたらす可能性が高い。

※週刊ポスト2015年4月24日号