北京地元紙の新京報は14日付で「果物の皮をむかないと、後で大変なことになる」と題する記事を掲載した。残留する化学物質で、健康障害が起きる恐れがあると、世界保健機関(WHO)関係者が話したという。

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 北京地元紙の新京報は14日付で「果物の皮をむかないと、後で大変なことになる」と題する記事を掲載した。残留する化学物質で、健康障害が起きる恐れがあると、世界保健機関(WHO)関係者が話したという。

 WHO駐中国代表のシュヴァル・ツレェンダー博士は「食品の安全は農場に始まる」と指摘。「中国の食品の安全に対する第一の脅威は、汚染による化学物質、農薬・殺虫剤・畜産業における残留薬物」と述べた。

 中国政府の対策については「1歩、1歩解決しているが、容易なことではない。ただちに解決することは不可能」と主張した。

 中国人は大根や果物の皮を食べる場合があり、よく知られている調理法もある。果物などの皮にはビタミンC、ペクチン、食物繊維、抗酸化成分が含まれているとして「健康に有益。捨てて無駄にすべきでない」と主張する専門家もいる。

 しかしWHOとしては、中国では果物や野菜の表面に多くの農薬が残留している可能性があり、食用していると健康被害が出る恐れがあるとして、捨てるよう提案するという。

 中国農業大学の食品化学栄養工程学部の朱毅准教授は、「北京市のような大都市の正規のスーパーで売られている野菜や果物は、品質が保証されている」とやや楽観的だが、一部の地方や農村では残留農薬の問題は深刻として「無駄にはなるが、安全のことを考えれば、皮はむいて、捨ててしまった方が安心」と述べた。

 残留農薬が原因で発生する健康被害として、嘔吐や下痢、アレルギーや胃腸や肝臓の障害が考えられるという。

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◆解説◆
 中国料理にある大根の皮を使った代表的な料理が、和え物だ。塩を振って水分を抜くと同時に柔らかくして、調味料で和えて冷蔵庫に入れる。翌日ぐらいから美味になる。「スイカの皮の料理」もある。薄く切って塩揉みをしてから、醤油、砂糖、酢、ニンニク、ごま油で和える。スイカの皮は炒め料理にすることもできる。

 「もったいない」、「栄養がある」という理由だけでなく、「おいしく食べる工夫に情熱を注ぐ」ところに、「世界に冠たる中国の食文化」の面目が垣間見える。しかし中国人は、経済が発展して「飢えに苦しむ」ことが、ほとんどなくなる一方で、汚染のために「美味しく食べていたものが食べられなくなる」という皮肉な現実に直面している。

 中華料理だけでなく、かんきつ類の皮を使ったマーマレードを自分で作って味わうことも、残留化学物質があれば「健康被害のリスクが大きい」ことになる。(編集担当:如月隼人)