また、別な専門家は「質の悪い睡眠」に馴染んでいる人は、どんな習慣を身に付ければ改善できるか、その「法則」を挙げる。
 (1)朝…起きたらまず朝日を浴びる。朝食には味噌汁を飲む。
 (2)夕…女性は髪をとかし男性はネクタイを外す。蒸しタオルで目を温める。
 「朝日を浴びることで体内時計をリセットする。それで自律神経、血圧、ホルモン分泌が整い交感神経が活発になります。味噌汁は、良質な睡眠に不可欠な栄養素“トリプトファン”を摂取するのに適している。豆腐とネギを落とせば最高ですよ」

 しかし、こうした一方で「過剰な睡眠は逆に健康へのリスクを高める」という意見もある。「睡眠と健康」について研究を続ける心療・精神科の担当医は「寝過ぎも大きな弊害があるので、考える必要がある」と指摘し、こう続ける。
 「ある大学の調査結果によると、9時間以上睡眠を取った人たちは、平均6〜8時間の人たちと比較して脳の衰えが著しくなるとの結果が出ています。睡眠を取り過ぎると、適正睡眠を取っている人に比べ認知テストの結果も悪くなるとのデータもある。人が寝過ぎている状態は、レム睡眠といって、脳が半分覚醒していて“浅い眠り”が続いているということになります。
 浅い眠り=寝不足を続けると、体内時計が乱れてホルモン分泌も不安定になり、糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めます。最も大事なことは、ノンレム睡眠、つまり“深い眠り”を適正に取れるかどうかなのです」(精神科担当医)

 「ノンレム睡眠」で様々なホルモンが分泌されると、落ち込んだ体力を修復させ、新陳代謝も促しながら免疫力も高めるので、健康維持に大きな役割を果たす。
 さらに、睡眠に最も相応しい“ゴールデンタイム”がある。夜の10時から夜中の2時にかけてで、成長ホルモンが活発に分泌する時間帯を指すわけだが、この時間帯にいかに深い睡眠を取ることができるかが大事と言う専門家は多い。

 人間は1日に平均して何時間、睡眠を取っているのだろうか。「睡眠が少ないと病気になりやすい」「多過ぎても問題がある」などと諸説がある。厚労省の「睡眠指針」にしても今一つ不十分な点がある。
 ただ、はっきりしていることは、睡眠を8時間取れば1日のうちの3分の1は寝ているということであり、人生80年とすれば約27年間は寝ているということ。それを考えると「人間は寝るために生まれて来たのか」とも思えてしまうが、実際、睡眠を取らないと生命は維持できないのだ。
 ある専門医は、「調査研究によって“断眠”3〜4日で一般人は錯覚や幻覚が生じるという報告もある」と言う。完全徹夜を2晩続けると、身体的には持ったとしても精神的にはかなり危険状態に陥るというのである。
 改めて睡眠を見直そう。