日本アニメ(ーター)見本市/左から山田幸美さん、氷川竜介さん、水野貴信さん、Norihito Ogawaさん、須田剛一さん、安達亨さん、板倉俊介さん

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カラーとドワンゴが共同で行っている短編映像配信プロジェクト「日本アニメ(ーター)見本市」の第16話「月影のトキオ」の解説番組が、4月6日に放送された。

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本作は、革新的な映像作品で新たな可能性を探り続けるアニメーションスタジオ・神風動画の水野貴信さんが監督、『シルバー事件』や『NO MORE HEROES』などを代表作に持つゲームデザイナー・須田剛一さんが原作と脚本を手がけており、独特の映像美や表現力で注目を浴びた。

番組には、水野さんと須田さんに加え、本作の宇宙人などのキャラクターデザインを手がけた「高速紙芝居」で知られるクリエイティブユニット・AC部から、安達亨さんと板倉俊介さん。そして、作中の音楽を手がけた、DJ・プロデューサーとして活動するNorihito Ogawaさんが出演。

ここでは、番組で語られたお話や、番組終了直後のインタビューを紹介していく。

放送直後のインタビュー!!!


見本市5



「月影のトキオ」は、「日本アニメ(ーター)見本市」セカンドシーズンとして発表された、第16話目となる短編アニメーション。月の番人である主人公・トキオが、地球に住む盲目の少女・世津子に思いを募らせつつ、太陽系第三惑星を侵略者から守る姿を描いている。

独特のCG表現や、AC部によるキャラクター演出、時折見せる昭和の雰囲気など、さまざまなクリエイターによる作風が一気に集約された、見応え抜群の作品に仕上がった。

参加するに至った経緯は、ドワンゴの子会社であるMAGES.の代表取締役会長・志倉千代丸さんに推薦された津田さんが、神風動画に声をかけたことがきっかけだったという。そのほか、番組では主人公・トキオは、日本のアニメが大好きで、niconicoのプレミアム会員であることなど、ちょっとした裏設定なども語られた。

──日本アニメ(ーター)見本市に参加して良かったことはありますでしょうか?

板倉 僕らは映像制作チームではありますが、いわゆるアニメーションの文化や文脈でものをつくっている人たちとあまり関わることがなかったので、とても貴重な体験でした。

ちゃんとしたアニメの文脈に加えられたのが嬉しかった。最初の設定資料を見せてもらい、ここまで練られているんだということもわかって、とても勉強になりましたね。

安達 アニメ業界じゃない外側からの参加ということ、しかも、名だたる面々と競い合うという側面もあったので、正直プレッシャーも感じました。でも、この中でなんとか輝いて、ちょっとでも爪痕を残そうと燃え上がる感じが、普段とまた違って制作できました。

須田 僕もゲーム業界からの参加なんですが、当然憧れのみなさんが参加されているし、カラーさんが関わってるプロジェクトなので、ハンパない作品が出てくるってことは最初から想像してたんですよ。

その中で、自分たちと神風さんが一緒にやるということで、最初は、怖さというか、心が震える感じがありました。でも、そこに参加できる喜びも含めて、すごく楽しく刺激的なことができたかなと思います。

せっかくアニメの作品に参加できたので、単なる思い出づくりにさせるのではなく、継続的につくって最終的には劇場版までできたらという目標で、神風さんとやっていこうと思っています(笑)。

小川 僕は、アニメの音楽で担当させてもらう上で、「日本アニメ(ーター)見本市」という、これ以上ない舞台をいただいたというのが率直な感想です。

もちろん「月影のトキオ」という作品に関して、自分とすごい肌があった感じがして、ストーリーの設定やキャラクターの立ち位置、心情を理解して音楽をつくれたと思います。

水野 アニメ業界とは違う素晴らしいアニメーションをつくる方々を紹介することが自分の使命だと思っていたので、それが実現できてよかったですね。

何度も見てもらいやすい尺


見本市3


──日本アニメ(ーター)見本市だからこそ、意識した点はございますか?

板倉 僕らが神風さんに呼ばれたということは、アニメ業界の文脈からちょっと外れたものを求められていると思ったんです。

なので、自分らしさを出そうとしたんですが、やっぱりアニメ業界の方々の勢いに飲まれて、作画がそっちに引っ張られた時がありました。でも、最終的には周りと話し合いながら、自分らしさを出せたと思っています。

安達 今振り返ってみると、"見本市なんだ"ということを意識してました。とにかく整合性とか雰囲気を合わせることよりも、「こんなこともできますよ」みたいな、いつもと違う世界を覗いてもらおうという意識でやりましたね。

小川 僕も「見本市で何ができるか」ということを意識していました。だから、今までやったことのないことに挑戦したいと思っていて、はじめて自分で歌ってみて、自分の声を録音して世に出した。自分の見本として発表できたら、という意識でやらせていただきました。

水野 5〜6分という作品の中で、とにかくいろんな作家やアーティストを呼んで、できる限り"見本市"をしたいという思いが強かったですね。

それに、短い分、何度も見てもらいやすい尺だから、作中に小ネタをちりばめることによって、何度観ても楽しんでもらえるようなつくりにしました。

──具体的にはどういった点でしょうか?

須田 歯ローターが飛び出ているシーンとか、魔人がモチーフになっているところなどもそうですね。後ろでダンスしている人たちは誰なんだろうと思ってもらえるように、他の惑星の人間を出しています。木星だけで衛星が48もあるように、実は番人も、ものすごい人数がいて、そのキャラがどこの番人なのか探し回るのも楽しいと思います。何回も観ているとだんだん気づいてもらえるような、セットの裏側みたいな部分ですね。

個人的には、大きな物語を断片的に切り取るような作品や、作画だけを見せるといったような作品ではなく、僕が脚本に参加したからには、ちゃんと頭からケツまでを通して、何かひとつでも感じてほしいということはすごく意識しました。神風さんと組めばそれができると思って。

ただ、やっぱりみんなで組むと、芯がバラバラになりそうで、不安はありました。ひとつの映像作品なのにいろんな作風が混在していて、果たして成立するのか。でも、水野監督が見事に整理してくれて、うまく噛み合ったんです。

まさかAC部さんがメガカノン(作中で主人公が使う武器)のパートを担当するとは思っていなかったのですが、自分でも腰を抜かすくらいすごい料理になっています。本当に監督には感謝しているし、良い作品になったなと思っています。

月影のトキオ



(c) nihon animator mihonichi LLP.