『バケモノの子』アフレコ風景より左から細田守、宮あおい、役所広司、染谷将太、広瀬すず ©2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS

写真拡大

7月11日から全国東宝系で公開される細田守監督の新作映画『バケモノの子』の声優陣と予告編が公開された。

【もっと写真を見る】

今回発表された声優陣は、バケモノ界「渋天街」で一、二を争う強さを誇るバケモノ・熊徹役の役所広司、両親と離ればなれになって渋天街に迷い込み、熊徹に引き取られる少年・九太の少年期を演じる宮崎あおい、青年期を演じる染谷将太、九太と図書館で出会う女子高生・楓役の広瀬すず、渋天街のバケモノを長年にわたって束ねてきた長老・宗師役の津川雅彦、熊徹の悪友で九太を優しく見守る豚顔の僧侶・百秋坊役のリリー・フランキー、熊徹の悪友で九太に冷たい態度をとる猿顔のバケモノ・多々良役の大泉洋、渋天街の誰もが強さと品格を認めるバケモノ・猪王山役の山路和弘、猪王山の長男・一郎彦の少年期を演じる黒木華、青年期を演じる宮野真守、次男・二郎丸の少年期を演じる大野百花、青年期を演じる山口勝平、九太と渋谷の路上で出会う不思議な小動物・チコ役の諸星すみれ、九太の父役の長塚圭史、母役の麻生久美子の15人。

細田監督は、役所について「最初にテストを聞いたときに『【熊徹】はこんな声だったんだ、【熊徹】に会えた!』という気持ちになったのですがアフレコを続けていくと、役所さんがどんどん熊化していくんです(笑)。役所さんを見ると、熊の生まれ変わりなんじゃないか、と思うくらい【熊徹】に一体化していました」と太鼓判を押している。

前作『おおかみこどもの雨と雪』で母親役を演じた宮崎については「女性が演じることの艶っぽさを出しつつ、きちんと少年の声に聞こえる。それは少年風に演じようとする技術ではなく、彼女の魂がそうさせているんです。宮崎さんそのままのお芝居で、少年になっている、その想像以上のはまり具合に感動しました」と語っている。

また、染谷については「今回の【九太】の話が決まって、すぐオファーしました。ご一緒したかった宮崎さんと染谷さんが、まさか同一人物を演じることになるとは思っていなかったのですが、宮崎さんからバトンを受け継いで成長した【九太】を染谷さんが演じていることに、違和感は全くないです」とコメントしている。

公開された予告編では、熊徹が少年時代の九太を鍛える様子や、九太が熊徹に「俺は弟子なんかじゃねぇ」と反発するシーン、青年時代の九太に楓が笑いかける様子などに加え、百秋坊、多々良らの姿も確認できる。

『バケモノの子』は、人間界の「渋谷」とバケモノ界の「渋天街」という交わるはずのない2つの世界に生きる孤独な少年・九太とバケモノの師弟関係を軸に、渋天街での修行や冒険、親子の絆、淡い恋などを描く「新冒険活劇」だ。脚本は細田監督が手掛け、音楽は『おおかみこどもの雨と雪』に引き続いて高木正勝が担当する。

■役所広司のコメント
バケモノのような人間は演じたことがありますが、本当のバケモノ役は今回が初めてだったので良い経験でした。
細田監督とは初めての仕事でしたが、まず絵コンテを読ませて頂きました。とても素晴らしかったです。監督の中ではもう既に映画が全てできている。本当にすごいと思いました。それに、路地から入ると別の世界が現れるという渋谷が舞台で、そこでバケモノたちが暮らしているという、その発想が素晴らしい。【九太】が初めてバケモノの世界に入っていくシーンはとてもわくわくしました。世界が違う者たちが一緒に描かれることが、この物語をより複雑で深いものにしているように思います。
僕は必死で慣れないアフレコをやりましたが、宮崎あおいちゃんにしろ、染谷将太くんにしろ、広瀬すずちゃんにしろ、やはりアニメで育った世代は本当にうまい。
彼らを見ていると、声がキャラクターの人格にぴったりハマっている感じがしますが、自分でやると何か足りないものがある気がして、反省、反省の繰り返しでした。
【熊徹】というのは、大変だろうけど人生で一回は出会いたい男ですね。こういう人に出会わない人生も幸せかもしれないけど、出会っちゃうと非常に豊かな人生になるんじゃないでしょうか。この作品は大人が観なければいけない映画だと思います。【九太】をとりまくバケモノたちの存在を通して「いい大人に出逢えば、いい子供が育つ。」ということを考えました。【九太】にとっては全ての大人の比較基準は【熊徹】です。我々にとって親が絶対的にそうであるように。また【九太】の面倒をみることによって、【熊徹】が育ててもらっているという側面もある。作品を観ていると、人間の方がバケモノより恐ろしい生き物に見えてきます。

■宮崎あおいのコメント
細田監督の作品は前作『おおかみこどもの雨と雪』に続き2作目ですが、アフレコ前日は緊張で気持ちが悪くなり、初日の最初の1時間はずっと不安でドキドキしていました。大好きな細田監督の作品にまた呼んで頂けてすごく嬉しい反面、【九太】という少年の声を演じると聞いて、どんな声を出せばいいのだろうととても心配でした。さらに、成長した【九太】を染谷さんが演じると伺って、プレッシャーを感じました。アフレコをはじめていくうちに、役所さん演じる【熊徹】との掛け合いや、罵り合いのシーンが増えていくにつれ、だんだん男の子の声が掴めてきて、そこからは楽しさが増してきました。
役所さんの【熊徹】は本当にチャーミングで魅力的。今まで何度もご一緒させて頂いている役所さんに、「ばかやろう」なんて言えてしまうのは、この【九太】という役ならではですよね(笑)。役所さんと普段なら絶対使わない憎まれ口での掛け合いが出来て、これが声のお仕事ならではの醍醐味だな、と思いました。
細田監督作品の魅力は、非現実的な設定ではあっても、必ず共感できるものや、感情移入できるものがあるところです。作品全体に優しい雰囲気が漂っていて、それはまさに監督の人となりそのものだと思います。細田監督から「女性が男の子の声をやる艶っぽさがありつつ、ちゃんと男の子の声になっていて凄く良いです。」と言って頂いて、本当に安心しました。

■染谷将太のコメント
細田監督の作品は昔から大好きで、細田監督の前作『おおかみこどもの雨と雪』が初めての声の仕事でその時は数シーンの出演でしたので、今回このような役を頂いて嬉しかったです。アフレコは尺が決まっていて芝居も自分のリズムとはいかないですし、毎シーン模索しながら進めていました。でも細田監督が的確な指示を出してくださって、その中で見えてくるものを理解しようとしました。
細田監督の映画にある、たくさんの人たちのあいだに渦巻く感情の力の表現は、当たり前ですが、実写映画にはできないことです。且つ、とても繊細であり、心躍るエンタテインメントにもなっている。全てを兼ね備えた映画という印象です。『バケモノの子』は少年の成長ものというストーリーに加え、アクションもすごい。観たことのない映像がつまっていたので、鳥肌がたちました。
まっすぐであり、ピュアな【九太】はある種健全な闇も持っていて、健全であるからこそ周りの人を包んでしまう力を持っている男の子。とても好きなキャラクターです。
【九太】は特種な環境で育ったので、人間の世界とバケモノの世界を行き来する時に浦島太郎的な「ズレ」を常に意識して演じました。ただ、その「ズレ」はきっと、【九太】位の年齢では誰しも感じることなのではないかとも思います。その「ズレ」のなかで自分なりに答えを見つけていくことで人は成長するんだと、今回演じながら学びました。

■広瀬すずのコメント
声のお仕事は初めてでしたが、会話の尺も決まっているし、自分のニュアンスと絵の表情が微妙に違ったりもするので難しかったです。大きい声を出しているつもりでも、絵とあわせて見るとそうでもなかったりするので、思い切って、より強調して声を出すようにしました。また、台詞以外の吐息やアドリブのリアクションなど、絵にあわせないと違和感が生まれてしまうので、そういったことを考えながらお芝居をしたのは今までにない経験です。アフレコ初日、「人間ってこんなに緊張するんだ」というくらい緊張して、とても焦っていました。共演者の皆さんのアフレコを見学させて頂いて、ずっと勉強していました。【楓】は自分よりも低く堂々とした声の持ち主というイメージ。なかなかうまく表現できず、不安がありましたが、せっかくやらせて頂けるのだから、ちゃんと【楓】を自分のイメージを越えたものにしたいというプライドを持って挑みました。
非現実的な世界観だからこそ、役者さんたちがリアルに近づけることで感動を与えることができる、と今回の経験から学びました。人間の【九太】とバケモノの【熊徹】が本当の親子のようになっていくのも、非現実的な中にもリアルな愛情が描かれていて、これが細田監督の世界観なんだと思いました。監督自身の愛情がそのまま画面に写っている気がします。

■津川雅彦のコメント
声だけで表現するのは、カメラの前で芝居するのとは随分違います。セリフを覚えず台本を読みながらできるのは楽なのですが、この身体を使わない分、ニュアンスの表現が何倍も難しくなるし、音色でキャラクターが決まってしまうわけですから、少しオーバーなニュアンスでも丁度よかったりもします。そこの塩梅が難しいです。細田監督は、バケモノ界を束ねる【宗師】には、「品」が必要だと言われました。粗暴な【熊徹】と、バケモノの世界では異端な人間の子【九太】の二人を【宗師】が無条件で好きになることを通じて、まずこの二人が何かやりそうだと観客に期待して貰うことが必要だからです。【宗師】の品が観客の期待への保証になる訳です。品は技術で表現出来るものではありません。これまでの役者人生を通じて培った最高値のプライドを持って反映したつもりです。私は不器用ですから、努力しなければならなかった役者です。だから、努力の中にこそ本当の品が生まれることを信じています。これからの俳優は実人生での生き方こそが観客に問われると思ってきました。でも現場では100%、細田監督を頼りに演じました。こんなに演出家を頼りにして芝居したのは初めてです。

■リリー・フランキーのコメント
細田監督と最初にお会いしたのは10数年前のCMの仕事でしたが、今回映画のアフレコで再びご一緒させて頂き光栄でした。細田監督の作品は、監督ご本人に凄くリンクしていて、ご本人が邪気のない方だというのが、作品をご覧頂ければよく分かるのではないかと思います。例えば、絵も美しいし、出てくるキャラクターもみんな活き活きしてますから。
現場では、監督の中にある確かな正解に向かって丁寧に演出して下さいました。私が演じた【百秋坊】という役は大泉さん演じる【多々良】、役所さん演じる【熊徹】の3人と幼なじみのような間柄なんですが、みんなで一緒に演じていると、だんだんキャラクターと僕らの顔が似てきているような不思議な感覚になりました(笑)。
『バケモノの子』のお話の面白いところは、バケモノではなく、人間の方に悲哀や闇があることを描いているところでしょうか。なんなら、バケモノたちの世界の方が、人間にとっての理想世界なんじゃないかとすら感じましたね。

■大泉洋のコメント
アニメの声の仕事は何度かさせて頂いていますが、1人で収録していることが多かったので、実写でもなかなかご一緒できないような豪華な共演者の方々と一緒にアフレコが出来て本当に楽しかったです。しかし、毎回声の仕事は難しくて慣れないですし、今回の作品は出番、台詞量が凄く多かったので大変でした。
僕が演じた【多々良】という役は、主人公【熊徹】の幼なじみで、仲間の【百秋坊】と共に、この物語の語り部的な存在です。
細田監督は今回初めてご一緒したのですが、演出がすごく丁寧で、脚本もご自身で作られているので指示が非常に的確でした。監督から頂いたアドバイスで、皮肉屋な中にも聡明さと愛情深さを持つ、【多々良】という役の多面性を理解することが出来きました。
細田監督の作品は、リアルな現代社会の人間を描いていて、メッセージ性もあり、なおかつエンターテイメントとしても楽しめる素晴らしい作品だと思います。
『バケモノの子』も、まだ完成前ですが、間違いなく名作だと思います。